【レビュー】ブレイド3
シリーズ作品というのは常に毎作、新しい要素というものを求められる。それはこのシリーズも例外ではない。
前提として、監督は一作目、二作目とも変わりデヴィッド・S・ゴイヤーとなった。
変わったとは言うが、彼は全作通して脚本としては関わっている。そのため、シリーズの集大成としてようやく監督に抜擢されたというべきかもしれない。
そんな監督が打ち出した新しい要素がキャラの総とっかえであった。
まず、ウィスラーが死ぬ。一作目に続いて二度目だ。しかし、今回は「絶対に生き返らせない」という意思があってか、被弾した上に爆発までするという念の入れようであった。
彼に代わって台頭するのがヴァンパイアハンター「ナイトストーカーズ」だ。
ジェシカ・ビール演じるアビゲイル、ライアン・レイノルズ演じるハンニバル・キングの二枚看板を筆頭に個性的なキャラが数人登場する。だが、二人以外は特に覚えなくても支障はない。
アビゲイルがウィスラーの娘(愛人の子供)という設定もあるが、キャラ付け程度に覚えておけばよい。
キャラが増えても混乱することがないのは、アクション映画としては素晴らしいと言えるだろう。
彼らが相手取るヴィランが元祖ドラキュラこと、ドレイク(ドミニク・パーセル)であった。
見た目からして筋肉質、変身能力なども有しているが、敵としての魅力はそこまでない。
それもそのハズで、前二作でブレイドは似通った(ほぼ)無敵な敵と戦ってきている。
今更、不老不死の元祖ドラキュラが出てきても二番煎じにしか見えないのだ。
「すごく強い」というざっくりとした印象こそあれど、絶望的な相手とはそこまで感じなかった。
とはいえ、アクションシーンは、ブレイドの無双、アビゲイルの助力、キングの笑いもあっていいまとまりとなっている。
チーム連携の戦いは、これまで一騎当千であったこのシリーズに新鮮味を与えていた。
チーム内でのコミュニケーションが描かれていたのも嬉しい限りである。
おそらく、大半の人がレイノルズ演じるキングを気に入る事であろう。
現状『ブレード』は、マハーシャラ・アリ主演でリブートされることがアナウンスされている。
つまり、ウェズリー・スナイプス主演はこれで見納めであることが確定したわけである。
これについてウェズリーは、ポジティブなコメントを挙げた上で、マハーシャラ主演を祝った。
どんなことにも動じない懐の大きさを見せたウェズリー。
その姿はブレイドに相応しい男であったことを、改めて我々ファンに感じさせてくれた。