【レビュー】スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け

シリーズ最終作。前作の躓きもあって期待と不安が入り混じる中公開された今作。
蓋を開けてみると、その内容は無難にまとまっていた。
アクション、ドラマ、新旧シリーズの伏線の回収などなど、ツッコミ処はあれどそつなくこなしていたと言える。
世論の評価は、エピソード8でマイナス評価だった点を一つ一つ修正していくような内容もあってか高い。
個人的にはもう少しアクセントが欲しかった。だが、オープニング・クロールから怒涛の展開が次々に繰り出されていたのを見るともう詰め込みようがなかったのだろう。
「ルークが死んだ」という事実だけ知っていれば、エピソード8は見ていなくても成り立つ構成になっている辺りが悔やまれる。

悔やまれるのはもちろんルークの死にもある。
彼が死んだことにより、まだ完成されていなかったレイの修行をレイアがすることになっていたのだ。
ルークが成しえなかった修行を完成させたこともあって「もしかしてレイアってルークより強いのでは？」という疑惑を持たずにはいられない。
そのレイアも今作で命を落としてしまう。これで、過去シリーズ主要キャラ全員が死んでしまうのだ。
確かにこれまでのシリーズもスカイウォーカー家の血筋が脈々と受け継がれていく様子が描かれてきていたが、ファンとしてはなんだか釈然としない。

それはこの作品の結末にも言える。
今作でレイは皇帝ことシーヴ・パルパティーンの孫であったことが明かされる。アイ・アム・ユア・グランドファーザーというやつだ。（こんなやりとりはないが）
ただ、そんな不名誉はライトサイドのレイは受け入れるはずもなく、自らをレイ・スカイウォーカーと名乗ることで物語は終結する。
確かに、本編中にルークが「血筋が全てではない」と発言し、その魂が受け継がれた描写にもなっていたがイマイチ釈然としない。せめてベンが生きていればと心のどこかにわだかまりが残る。

今作、アクションはほとんどがレイvsカイロ・レン（ベン）の戦いであった。
フォースのぶつかり合いもあればライトセーバーを使った戦いもあってバリエーションは豊富。欲を言うのならエピソード1～3のようなスピード感が欲しくもあった。あれを見ると目が肥えてしまう。
最後の老パルパティーンとの戦いも、フォースライトニングをセーバーで受け止めるだけであったし、もうひと味、ふた味バトルの展開があっても良かった気がする。

ここまで読んでもらったら分かるように、この作品は細かい粗を探し始めるとかなりの数が挙がる。
けれど、鑑賞中はそれがまったく気にならないくらいのエンタメ性を孕んでいた。
ファイナル・オーダーの戦艦を相手に味方が駆けつけるシーンなんて、分かり切ってはいたものの盛り上がれた。
空中戦、セーバー戦、血筋関係のドラマをやっていれば面白いのだ。
そうした原点回帰を果たした作品であったからこそ、無難にまとまっていたという評価が適していたのであろう。

今回でひとまずスカイウォーカー家を争う話はひと段落着いた。
ネット上では、7～9の流れを「墓を掘り返してまた埋めただけ」という皮肉で表していたがあながち間違えでもないように思える。
とはいえ、エピソード8でダークサイドへと落ちたファンたちも、今作によって大半はライトサイドに戻っていったことだろう。
ようやく、ファンたちにも夜明けが訪れたのだ。