【レビュー】ブレス しあわせの呼吸
難病に掛かった実在の人物を映画化した系の作品。(そんなジャンルはありませんが)
個人的にこうした作品には弱いです。力強く生きようとする人間のエネルギーに感動させられます。
『ダラス・バイヤーズクラブ』(2014)、『アリスのままで』(2015)、『博士と彼女のセオリー』(2015)なども好きな作品です。
で、今回もその例に漏れず感動させられました。
ただ、本作が上に挙げた三作品と異なるのが、主人公ロビンが首から下は全く動けないことでした。
けれど、それが逆に感動的でした。
全く動けない状態でも自由であろうとする姿勢には力強さが感じられました。
ここで生きてくるのがロビン役を演じたアンドリュー・ガーフィールドの存在です。
彼の見せる笑顔は本当に素敵で、笑顔を見せるだけでもエネルギーを感じさせるようでした。
最後の瞬間にもこの笑顔を見せるのですから、言葉以上に自由に生きたことを感じさせてくれました。
最初こそ『アメイジング・スパイダーマン』シリーズでの活躍と比較してしまい、その痛々しさに見ていられない思いがしましたが終わってみれば彼以上の適役はなかなかいなかったでしょう。
本作の感動できる点はロビンを支える人々にもありました。
基本一人では動くことのできないロビンを献身的に支える姿には人のつながりの大切さを思わせました。
特に心に残ったのが、誰もロビンを見捨てたり、文句を言ったりしないことでした。
これはロビンが普段からユーモア溢れる毒舌を自虐を絡めつつ話すからではないかと思います。
この性格のおかげで誰もが彼と対等に話している感じがしました。
支える人間として欠かせない存在であったのが、ロビンの妻ダイアナでした。
突然、夫が身動きの取れない状態になっても取り乱すことなく、むしろロビンに対して生きる希望を与えるという素晴らしい対応を見せていました。
また、介護に当たってもいやな顔ひとつせず、むしろ彼の願いを率先して叶えようともしていました。
ロビンとの別れに際しても、決して悲観的な姿は見せずに彼を見送るというパートナーとしてこれほどまでに素敵な女性はいないですよ。
二人が交わす会話に「My Love , MyLife」(愛する人、私の命)というセリフがありますが、それまでの二人の関係を見ていると説得力があってじーんときました。
死による別れというのは残酷で辛いものです。
けれど、本作のロビンのように笑っていけるのなら、その死も尊いものになるのかもしれませんね。