【レビュー】パーフェクト・プラン
デンマーク人ヘンリク・ルーベン・ゲンツ監督による最初で最後の日本公開作品(2020年現在)です。
たまたま家の地下室を貸していた男が強盗仲間から盗んできた金を若い夫婦が見つけてしまうというサスペンス。
地下室を貸していた男も死んでしまい、出所も分からない大金をネコババするか否かで悩む夫婦の姿は、等身大の一般人でした。
ただ、そのお金を結局くすねてしまうのですから映画です。
強盗犯、大金の持ち主、強盗犯への復讐を目論む刑事らに囲まれ右往左往する夫婦の攻防を描いたシリアルな展開は面白かったです。
その4勢力が、改装中の一軒家で生死を掛けた戦いに挑む終盤のシーンは本作でのハイライト。
家の構造を熟知している夫妻による、銃を使わない戦いは、なかなか見ごたえがありました。
最後まで銃を使わない一般人で通したのは良かったです。
ただ一方で、一般人にやられる強盗犯と金持ちの情けなさが光るというのもありました。
床を踏み抜いて串刺しにされるとかもはや『ホームアローン』染みたギャグにしか見えませんでした。
また、大金の持ち主であるカーンを演じたオマール・シーが、圧倒的な迫力で悪党を演じているのにコロッと殺されるのも残念でした。
なにより言いたいのが、「犯罪組織の部下が少なすぎる」ということです。
ロンドンを牛耳る組織とロンドン乗っ取りを目論む組織とは思えない悪党たちでした。
プロvs一般人の攻防をリアルに描くとああするしかないのかもしれませんね。
悪党が一般人夫婦によって皆殺しにされるのが本作の結末でした。
元をただせば勝手にお金を使った夫婦が悪いのですが、痛い思いもしていましたし、しっぺ返しは十分食らったということなのでしょう。
なにはともあれ「怪しい金には手を出すな」という当たり前のことを教えてくれました。