【レビュー】アルティメット
縦横無尽に町を駆け巡るパルクール。
その魅力を100%詰め込んだ作品が今回レビューする『アルティメット』です。
フランスの悪漢どもを一ヵ所に集めて壁で囲ってしまった「13街区」(原題の『Banlieue 13』はここ由来)
そこに持ち込まれた爆弾を解除するために、捜査官ダミアンと13街区の住民レイトが手を組むというストーリーです。
こうしてあらすじを書きましたが、これでストーリーの8割は押さえられているというのが事実です。
最後に一応どんでん返しがありますが、そこまで驚くことでもないですし、ハッピーエンドのために上手くまとめたといった感じでした。
他にやっていることとすれば、レイトやダミアンの有能さを紹介していたり、二人が手を組むための口実を作ったりしていたくらい。その仮定で描かれる、銃やクスリ、金がモノを言う無秩序な世界観は良くできていました。
本作なにが面白いかと言えば、やはりパルクールです。
建物内だろうが外だろうがお構いなしに、文字通り縦横無尽に走り回る姿は爽快度MAX!
一瞬たりとも目が離せない、離したくない面白さがありました。
さらに面白く感じさせるのがダミアンとレイト、二人のキャラクターです。
壁の外側と内側の人間という相反する存在ではあるものの、ことパルクールにおいては息ピッタリの動きを見せていました。
それで、お互いに認めあってゆくのですから王道路線の熱い展開でした。
アクションの構成も、レイト個人でのアクションシーン→ダミアン個人のアクションシーン→二人が合流、といったように、いい感じに刺激を与え続けてくれていたと思います。
本作と同じくパルクール映画である『YAMAKASI』(2001)で脚本、原案を務めたリュック・ベッソンが関わっている(制作・脚本)こともあってか、カッコいい見せ方というのを熟知しているかのようでした。
そこへ「悪党だらけの13街区」という世界観を加えることで、より面白い作品に仕上げていました。
思わず真似したくなるような(真似してはいけません)カッコよさはまさにロマンです。