【レビュー】ダブルヘッド・ジョーズ

人間はサメに勝つことはできません。

海という不利な環境であることはもちろんですが、その狂暴性を前に為す術がないことが理由だと考えられます。

では、もしその狂暴性が2倍になったら……？

その"もし"についての答えを出したのが今回レビューする『タブルヘッド・シャーク』です。

狂暴性が2倍になるついでに、頭も2つになるという安心安定のB級映画。

制作はもちろん『シャークネード』シリーズでお馴染みの「アサイラム」です。

ストーリーは至ってシンプル。

課外活動中の船がサメに襲われ故障、直るまで環礁の無人島に避難していたらサメが島をぶっ壊し始めたという展開です。

見所はやはりサメのヴィジュアルでしょう。

頭2つのインパクトは絶大！

ボーリングのスプリットをとるかのように人間を二枚抜きする勢いは頭が2つないと出来ません。

逆に2つ頭があるせいで、狭いところに引っ掛かったり、頭の間に入り込まれたりと、マヌケな姿も晒したりしていましたが。

そんな二枚抜きが常のダブルヘッドを相手にするためか、登場人物（という名の犠牲者）はかなり多いです。

個性も特徴もないだけに、名前も知らぬまま次々に死んでいくという適当な扱いですが、まあそれを見たいわけですし大してきになりませんでした。

それよりも残念なのはダブルヘッドが人を襲うシーンです。

CGバリバリなのはアサイラム映画のお約束だからいいとして、襲い方に面白さがありません。

水中で足にかぶり付くCG→海面で襲われている実写→海面に出てくるサメのCGといったパターンを何度も繰り返しているだけで完全に飽きます。

（サメ映画にしては）変わった動きもあまりせず、割とまともなサメ映画に思えました。

むしろツッコミ所が多かったのは人間サイドの行動でした。

例えば、皆が船の修理のために奔走しているのに日焼けをしている奴がいたり、突然ボートレースを始めたりと、「何がしたいんだ！」と言いたくなることばかりします。

まあ、頭が2つあるサメが出てくる映画にあーだこーだと言っても仕方ないですし、ツッコミを入れることを楽しさとしていました。

ラストシーンなんて、ボートにサメが食いついたら爆発ですからね。まともに考えていたらどうかなってしまいますよ。

そんなツッコミを入れることが前提のような本作ですが、一番言いたいのは「サメに頭2つもいるか？」ということです。

頭が2つあることで狂暴性や感覚が2倍になっているらしいですが、正直他のサメ映画と同等にしか見えませんでした。

人間2人を同時に襲えるとはいっても逃げ場のない海なら1人ずつ襲ってもいいわけですし、利点が見当たりません。

見た目のインパクト以上の理由が見出だせない、そんなダブルヘッド・ジョーズでした。