【レビュー】7WISH(ネタバレあり)
7つ願いを叶える代わりに周りの人間の命を奪う。
そんな誰もが夢想する分かりやすい作品が『7WISH』だ。
似たシチュエーションで『運命のボタン』という作品もあるが、あちらの作品は宇宙人が絡んできたりと無茶苦茶である。それと比べると脱線もあまりなく分かりやすい。
だが、それ故に印象にも残りにくい作品でもある。
それもそのハズ、女子高生が自分の生活を良くするために願いをして誰かが死ぬだけなのだから。
しかも、その願いが「好きな人と仲良くなりたい」、「クラスメイトからチヤホヤされたい」など、かなりみみっちい。ある意味、女子高生のリアルな願いなのかもしれないが、
誰もが考えるようなロマンの詰まった映画なのだ。徹底的に使って徹底的に破滅するくらいの刺激は欲しかった。
そんな中途半端な願いに比例してなのか、願いの代償に殺される人々の死に様も中途半端
だ。
普通ではありえない死に方であるのはいいとして、中途半端にグロい。
どうせグロくするなら飛びぬけていれば見ごたえがあるのに、どうにも盛り上がらない。
「あ、死んだ」くらいの薄い印象しか残らなかった。
こうしたイマイチ要素の中で輝いていたとすれば、主人公を演じたジョーイ・キングの可
愛さくらいだろうか。
『ホワイト・ハウス・ダウン』でアメリカ国旗を振り軍の攻撃を中止させたあどけない少
女が女子高生役だ。感慨深いものである。
若手ながらも多くの映画に出演もしているためか演技も安定していたし、彼女の姿は一つ
の見所となっていた。
他に語ることがあるとすれば、この作品の核ともなる願いを叶える箱についてだろうか。
今作はアメリカ制作の映画であるが中国要素が多い。それは、願いを叶える箱が中国起源であることが影響している。
どうやら過去の怨念が原因らしいのだが、箱についてはほとんど解決しないため、割とどうでもいい話であった。
あくまで「願いが叶えられて、人が死ぬ」それがやりたいことだったのだろう。エンドク
レジット後のパートもそんな感じだった。(最後まで見ることをオススメする)
そんな悪趣味極まる作品ではあるが、ジョーイ・キングは今後も活躍が期待できるネクストジェネレーションだ。
数年後に今作が陽の目を見る可能性もないわけではない。そういう意味では見ておいて損
はない作品なのだろう。
訳の分からない箱がなくとも、その願いは近いうちに叶いそうなものである。