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【レビュー】沈黙の戦艦

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今やスティーヴン・セガール主演作『沈黙の~』シリーズは、映画ファンの中では有名です。
その原点ともなる作品が今回レビューする『沈黙の戦艦』となります。
『沈黙の~』シリーズとはいっても、セガールが演じるケイシー・ライバックが登場するのは本作と『暴走特急』の二作だけです。

 

セガールの魅力ムンムンの最高傑作!
まず、声を大にして言いたいのが、本作がセガール映画最高傑作と言っても過言でない面白さがあることです。
おそらく、本作と競えるとするなら冒頭でも名前を挙げた『暴走特急』くらい。
けれど、本作が1作目であることを考えるとやはり最高傑作と言うしかないでしょう。
で、その理由は王道アクションをテンポよくこなしているからだと思います。
海上の『ダイ・ハード』」と呼ばれるだけあって、アクションとストーリーの調和が程よいのですね。
占拠された戦艦をセガールが持ち前の体術で取り戻していく様は爽快でした。
ただ、『ダイ・ハード』のようなアクション映画と異なるのがセガールの魅力です。
どんなピンチにあっても決して焦りを見せず、冷静さを失わないハードボイルドな姿は、まさに男の憧れ。しがないコックが実はすごい経歴を持っている、という設定もワクワクを加速させます。
仲間との関係を大切にしていたり、ムカつく相手にキツイ一撃をお見舞いしたりと、人間味があるのも魅力的でした。
そしてアクション。
銃あり、爆弾あり、格闘ありのハチャメチャさは、古今東西楽しめる痛快さがありました。
仲間との連携があるのも本作の特徴。
中でも潜水艦を戦艦の主砲で爆撃するシーンは、仲間ありき、舞台ありきの印象的な展開でした。

 

このように、キャラクターとしてもアクションとしても、セガールを存分に生かしていたと言えます。
原点にして最高傑作。そう呼ばれるのも納得のセガールの魅力がギッシリでしたね。

 

悪役にはあの人が!?
本作で面白かったもう一つのポイントが、悪役にありました。
なんとトミー・リー・ジョーンズが黒幕ウィリアム・ストラニクス役で登場しているんですね。
初登場時は、革ジャン、サングラスのピッピー風のファッションで登場するだけに、誰か分かりませんでした。(あと若いのもあって)
革ジャンとサングラスを外したらトミー・リー・ジョーンズが出てくるのですから驚きですよ。なんて恰好をしてるんだと。
メカニック:ワールドミッション』(2016)でも革ジャン、サングラス、アゴヒゲなんていう格好で痛烈なインパクトを残した彼ですが、個人的にはそれをも超える衝撃だったと思います。(こちらの方がだいぶ先ですが)
また、演技面でもいろいろとアクティブ。
テロ対策として集まっているお偉い方に、自分たちの戦艦ハイジャックの正当性を説いたり、作戦がおじゃんになってヤケクソになったりと、見ごたえがありました。
セガールが冷静沈着であるだけに、その正反対の存在というのは魅力的でしたね。
また、最後のセガールとの戦いでは、俗にいう"セガール拳"で応戦。ナイフ同士のぶつかり合いは見ものでした。
結局、一発もセガールにダメージを与えられずに脳天にナイフをぶっ刺され、モニターに頭を突っ込まされる所を含めて、おいしい悪役だったと思います。

悪役の話という事でもう一人触れておきたいのが、クリル中佐役のゲイリー・ビジーです。
初っ端からスープに唾を入れてセガールに殴られるなど小物臭のハンパなかったクリル中佐。
冷蔵室に最強のコックを閉じ込めていたのを忘れていたのを初め、多くの無能っぷりを晒すのはある意味新鮮なキャラクターでした
その最期は「あばよライバック!」と勝利宣言をして、潜水艦ごと吹っ飛ばされるという衝撃的なもの。おいしいと言えばおいしいですが……
特にする必要の無さそうな女装をしたり、反逆を起こす前から部下から信頼されてなかったりと、苦労人な一面もあって、ウザイけれど嫌いになれないキャラでした。

 

このように、悪役にも魅力を感じさせていました。
よくよく考えるとアクション物で長く愛される作品では悪役も記憶に残っています。(『ダイ・ハード』とか)
そうなると、本作を傑作としているのは二人の魅力的な悪役がいるおかげなのかもしれませんね。