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【レビュー】天使にラブ・ソングを…(ネタバレあり)

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音楽は人を幸せにする力を持っています。

ジャンルがなんであれ、いい音楽を聞けば誰しもが楽しい気持ちになります。

そしてそれはシスターとて同じ。

そんな音楽の力強さを教えてくれるのが今回レビューする『天使にラブ・ソングを…』です。

 

前知識として知っていたのは、シスターがノリノリで歌うことくらいでした。

しかし、意外と音楽以外も素晴らしい作品で、最初から最後まで引き込まれました。

 

リノのギャングと恋人であったデロリスが殺人を目撃したことから追われることになるのですが、この導入からよくできていました。

シリアスなはずなのにデロリス初め、ギャングたちのキャラクターはコミカル。この作品の作風を一気に理解でき、受け入れることができます。

その後に待っている警察が証人であるデロリスを教会に匿うというトンデモ展開さえも笑って受け入れられるようになっていました。

 

さらに面白くなるのはデロリスが教会に着いてから。

マギー・スミス演じる修道院長や、ぽっちゃり系シスターのメアリー・パトリック、修道女見習いのメアリー・ロバートなど、個性的なキャラクターが登場し、ますますコミカルに。

他にも多くのキャラクターが修道服姿で登場しますが、一癖も二癖もあるからか一度見たら忘れられない魅力がありました。

また、修道院長を安易に悪役にせずに、デロリスとは対立関係に置くという扱い方も面白くなるようになっていたのが好印象でした。

 

そんな笑えて楽しい空間を彩るのが音楽です。

讃美歌なのに曲調をポップに変えるという破天荒さは、オリジナリティがあって楽しめました。

さらに、手拍子や躍りを付け加えてくるのですから、盛り上がるしかありません。

作中、集まってきた若者たちよろしく、一気に心を掴まれました。

曲のバリエーションが多いのも嬉しい点です。

個人的にお気に入りは、ラストに披露された"I Will Follow Him"です。

曲も聖歌隊のノリも素晴らしく盛り上がらずにはいられないシーンでした。

ローマ法王がノリノリになるのも納得です。

 

ラストシーンへとつながるデロリスとギャングの対峙もまた見所のひとつでした。

修道女という特徴を生かした決着のつけ方は、コミカルな雰囲気を出していたからこそできる荒業。

いい意味でツッコミ所満載な笑える展開が待っていました。

音楽とコミカルなサスペンスのメリハリが付いていたのが、ダレることなく楽しめる理由でしたね。

 

と、ここまでいろいろとろいろと作品の魅力を挙げていきましたが、一番の魅力はやはり、主演のウピー・ゴールドバーグです。

芸人顔負けのリアクションやコミカルな話し方で笑いを生み出し、味のある歌声で聖歌隊を引っ張る力強さは彼女にしか出せない魅力でした。

 

歌と笑いで幸福感をもたらしてくれる本作。

原題である『sister act』(シスターを演じる)を『天使にラブ・ソングを…』に変えた邦題のセンスも含めて愛すべき作品でした。