【レビュー】ミラクル・ニール(ネタバレ

もしも腕を振るだけで願いが叶うとしたら?
子供から大人まで考えるであろう理想。それを映画化したのが今回レビューする『ミラクル・ニール』です。
地球外生命体によって授けられた何でも願いが叶う力を使って冴えない男ニールが人生をハッピーにする……
そんな作品ですが、その力に裏があるのが本作のポイント。
なんと、地球外生命体がニールを被験者に地球人のランクを測定し、失格なら地球を滅ぼすというのです。
面白いのが、最初から最後までニールを含め、地球人はその事実を認知していないということ。
地球外生命体たちは我々映画の鑑賞者よろしくニールたちの行動を見てあーだこーだと言ってるだけなんですね。
しかも、うわべだけ見てやれ地球人はダメだ、滅ぼすべきだと言うのですから勝手です。
そんな地球外生命体がしっぺ返しを食らうラストは痛快でした。
ただ、作品的に悪党に位置する地球外生命体たちではありますが、キャラクターとしてはとっても魅力的。
とにかく地球を破壊したい奴、じっくりと観察してから地球を破壊したい奴、形式上ランクを測定するけど地球を破壊したい奴などなど、破壊衝動の溢れる多種多様な地球外生命体たちが揃っているんですね。
で、そいつらがいい感じにマヌケなのも憎めない所。
アホらしさ満載の会話劇は、見ていて楽しめました。
そんなマヌケな地球外生命体たちの力だけに、なんでも叶う力でもかなりムラがありました。
例えば、友人を崇拝するように言えばキリストのごとく崇拝するようになりますし、ある特定の人間を甦らせたいのに死人全員を呼び起こさせたりと、とにかく融通が効きません。
そんな能力が巻き起こすカオスな展開と、それに振り回されるニールの姿には笑わせてもらいました。
軽く手を振るだけで状況が一変してしまう勢いはコメディとして生きていたと思います。
もちろん、そうした勢いはニールを演じたサイモン・ペッグによるリアクションかまあってこそでした。
次から次に巻き起こるトラブルに対して、オーバーリアクションともいえる大袈裟な反応を見せるのは面白かったです。
まるで本当に魔法を手に入れ、それを使っているかのような仕草やリアクションの数々は、本作の見所と言っていいポイントでした。
そんなニールと接するキャラクターたちが個性的なのも面白い所です。
ニールの手にした力によって振り回されるキャサリンやレイ、恋敵となるグラント、マヌケな宇宙人たちなどなど。
コメディ全開な、かるーいやり取りは頭を空っぽにしていても楽しむことができます。
そうした中でもひときわ輝いていたのが犬のデニスでした。
おしゃべりでニールのことが大好き、でもおバカ。
そんなデニスとニールのゆるふわなやり取りは、ただただ下らなくて面白かったです。
最後の最後までデニスのキャラがブレることなく、それが要因となり世界が救われるオチは適当に見せかけてしっかりとしていました。
今回、私は吹き替えで見たのですが、英語版ではデニスの声にロビン・ウィリアムズが起用されていたり、宇宙人役に監督テリー・ジョーンズが属する「モンティ・パイソン」のメンバーが起用されていたりと遊び心が満載。
こうした声の出演ひとつを取ってもキャラクターを大切にしていることが分かりますね。
壮大で下らなく、難しいことを考えずに見られる。
そんな、エンタメ映画のいいところを感じさせる作品でした。
コメディをやっているサイモン・ペッグの活躍をさらに見たくなりました。