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【レビュー】暴走特急(ネタバレあり)

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数多くのアクション映画で主演を務めてきたスティーヴン・セガールの中でも、ケイシー・ライバックシリーズは高いクオリティを誇っています。

そんなシリーズ第二作となるのが、今回レビューする『暴走特急』です。

 

本作、他のセガール映画と比べて何が面白いかと言うとやはりアクションでしょう。

特急列車という限られた空間内で、テロリストを一人ずつ片付けていく爽快さは、何度見ても楽しむことができます。

しかし、それだけなら他の評価の低いセガール映画なんかでも当てはまりそうなものです。

では、この作品が飛び抜けてよいのはどこなのでしょうか?

 

個人的にセガール映画でも良作は、アクションがくどくないと思います。

一人を倒すのにも手こずることなく一瞬で倒してしまう手際のよさ。それがあるんですね。

例えば、本作のテロリストたちが襲撃してくるシーンではいきなり二人を瞬殺。他の客とは違う強者感を出していました。

その後も銃あり、格闘ありのバリエーションの多さで次々にテロリストを撃退していくというテンポのよさ。ダメなセガール作品は、通称セガール拳で敵とペチペチしているだけだからイマイチなのでしょう。

ちなみに本作でセガール拳を使うのは、終盤での元ライバックの部下との一騎討ちのシーンのみ。その特別さは敵の強さを感じさせると同時に「とうとう使った!」という盛り上がりを感じさせました。

やはり、セガール拳はここぞという時に使って欲しいものですね。

 

アクションの行われるロケーションも大切でした。

例えば、先ほど挙げた一騎討ちのシーン。

この戦いは特急列車の厨房で行われ、コックのライバックが勝利した後「厨房なら負けない」というセリフを残すというなんとも粋な計らいをしていました。

他にも、テロリストに占拠された電車内をセガールがあちこち移動したり、電車から飛び出し再び乗り込むなど、とにかく暴走する特急列車のロケーションをフルに生かしていたと思います。

こうした盛り上げがあったからこそ、アクションに飽きがこなかったわけですね。

 

そして一番重大なセガールのよさについてです。

これはシリーズ共通して言えることですが、圧倒的な貫禄と存在感があります。

銃で撃たれても「貫通したから」という謎の理論で無傷同様の振る舞いを見せていたり、爆発し谷底へ落ちる列車内に取り残されているにも関わらず顔色ひとつ変えずに走る姿は、貫禄どうこうというよりも最強生物と呼ぶしかありません。

一方で、娘を助けようと気遣う人間味のある姿も見られました。

まあ、彼女を守るために敵への攻撃が容赦のないものになっていた気もしましたが……

戦闘能力も容赦のなさも『沈黙の戦艦』からパワーアップしたケイシー・ライバックを見ることができました。