スキマ時間 DE 映画レビュー

【レビュー】ピラニア3D(ネタバレあり)

f:id:sparetime-moviereview:20200611025900j:image


ホラー界の巨匠の一人ジョー・ダンテ

彼が1978年に監督した『ピラニア』は、エログロありのB級映画丸出しでコアなファンを虜にしました。

そんな伝説の映画を最新技術でリメイクしたのが、今回レビューする『ピラニア(2011)』です。

 

ストーリーは至ってシンプル。

「湖の底から現れた人食いピラニアから生き残れ!」

ただそれだけです。

バカも学者も警察も、誰彼構わず食い殺していくピラニアの脅威は、爽快、痛快、胸一杯になります。

青く澄んだ綺麗な湖が、血によって赤く染まっていく非日常感は、上映時間87分間、ただただ楽しませてくれました。

 

で、今回声を大にして言いたいのがCG技術です。

やはり、オリジナル版から30年以上経っていることから、色々と表現が変わっていました。

例えば、リアルな見た目の恐ろしさをアップで映していたり、ピラニアの絶望的な数を引きのアングルで映し出していたりと、本物がそこにいるかのような表現は本作ならではだったと思います。

また、グロテスクな表現もCGによってパワーアップ。

体の一部が食いちぎられていたり、手や足が欠損していたり、下半身が骨だけにされたりといった生々しい表現は、スプラッターを求める欲望を満たしてくれました。

 

また、B級ホラーのお約束であるエロ描写も満足いくものでした。

女は裸になり男はそれに群がるという、おバカなノリの連続には、見ている自分も頭のスイッチをオフにして見ていられます。

沸き起こる歓声が悲鳴に変わればスプラッタースタートの合図。

一斉に押し合い圧し合い逃げ惑う人々の姿は、絵にかいたようなパニックホラーでした。

ラニア意外の原因(感電死や溺死、轢死など)で死んでしまう人がいたのが個人的にはスプラッターとして良くできていると思いました。

敵はピラニアだけじゃないんですよ。

 

そうしたパニック下でのモブキャラクターたちの暴走があるからこそ、主要キャラクターたちの活躍は光ります。

人間味を失わず、殺人ピラニアに真っ向から挑む彼らの勇姿は、それだけでもキャラが定着するというもの。

銃で水中のピラニアを撃ち殺すという、針の穴に糸を通すような芸当であっても、勢いで応援したくなりましたね。

 

こうしたツッコミどころ満載でも勢いで押していく強引さが面白さの秘訣だったのでしょう。

誰だって生々しい血の描写を見れば目を覆いたくなるもの。

けれど、本作のような突き抜けた勢いがあれば、生々しささえもアドレナリンとなり盛り上がりに繋がります。

湖を真っ赤に染めあげる殺人ピラニアたちによる大殺戮は、そんな盛り上がるためのアドレナリンだったと言えるでしょう。

 

リメイク版『ピラニア』として新たに甦った本作。

飛び散る肉片と血には一種のアート性すら感じられました。

良いところはそのままに、パワーアップ出来るところは惜しみ無くパワーアップさせる心意気は素敵でした。