【レビュー】プラン9・フロム・アウタースペース(ネタバレあり)
世の中には、伝説的な駄作というものが存在しています。
中でも『死霊の盆踊り』と『プラン9・フロム・アウタースペース』は、メジャー。数多くの人から、長きに渡って言い伝えられてきた駄作です。
今回は、そんな伝説の駄作のひとつ『プラン9・フロム・アウタースペース』をレビューしていきます。
率直な感想を言わせてもらうと、真面目に見なければそこそこ楽しめる映画だと思います。
すごくたどたどしい演技、SF映画とは思えない安っぽい映像、それを隠そうともしない演出、とてもシラフでは思い浮かびそうもないストーリーetc...
ひとつひとつ真面目に考えるとアホらしくなってきます。
しかし、逆に言うならひとつひとつにツッコミを入れていけば79分間ほとんど余すことなく楽しむことができるんですね。
普通に作られた映画では、まずこんなことはないですし、ある意味貴重な体験ができたと言えます。
そうして見ていると、なかなか面白いのがストーリーです。
特に以下の3つの要素は、個人的に面白いと思いました。
・宇宙人エロスとタンナが、支配者の許可がなくては計画も実行できないという世知辛い環境
・死人を甦らせて地球を侵略しようとする謎の発想
・太陽爆弾という名の奇抜な惑星崩壊シナリオ
これらの要素で興味を惹いたのが、設定から色々と考察ができるということです。
宇宙人の支配者は作中では死んでおらず、更なる攻撃を予想させていましたし、死人を甦らせる作戦はタイトル『プラン9』にもある通り、9番目の作戦という設定で他にも作戦があることを予想させていました。
中でも興味を惹いたのが、太陽爆弾です。
「太陽の光が届く=着火材のように連鎖的に滅びる」という考え方は、理論は謎でも理屈はなんとなく分かってしまいます。
作中の最後にナレーションで言われるように「絶対にないと言い切れない」設定はなかなか面白く思えました。
伝説の駄作として名高い本作。
けれど、見方によれば意外と楽しめてしまう辺りが長く愛されてきている理由なのでしょう。
奇抜な設定を詰め込んで、悪魔の証明よろしく「あり得るかもしれない」と豪語するスタイルは、SFのルーツを感じさせました。