【レビュー】ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(ネタバレあり)
「ハーレイ・クインはジョーカーの恋人」
おそらく、DCのキャラクターの一人ハーレイ・クインを知っている人の認識はこうでしょう。
そんな設定をぶち壊し、ハーレイとジョーカーの破局から始まるのが、今回レビューする『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』です。
タイトルからもわかる通り、本作はガッツリとキャラクター映画でした。
ナチュラルに犯罪行為を起こしまくるハーレイ。
自らを「ハントレス」と呼び周りからは「クロスボウキラー」と呼ばれる復讐鬼ヘレナ。
戦う歌姫「小鳥ちゃん」ことダイナ。
ハーレイを執拗に追う警官レニー。
全ての鍵となる少女カサンドラ。
ハーレイ・クインを筆頭に個性的で飽きの来ないキャラクターが集う様は最高のエンタメ映画だと言えるでしょう。
そして、ハーレイ・クインが魅力的になっていたのは、演じたマーゴット・ロビーの演技力があったからこそでした。
『スーサイド・スクワッド』以来、2度目のハーレイなわけですが、何度見ても新鮮な思いで楽しませてくれます。
その理由は、表現力の広さにあるでしょう。
本作は冒頭からジョーカーと破局していることもあってか、かなり情緒不安定気味。
クレイジーに笑いながらやりたい放題した思えば、悲しげな顔を見せたりと、ハーレイ・クインの強さと弱さ、両方を見た気がしました。
そんな包み隠さずな姿を見せてくれるのですから、ハーレイを好きにならずにはいられません。
なにより、言動がいちいちキュート。
KY発言をしても笑って許せてしまうような愛嬌がありました。
一方でカッコいいのがアクションシーンです。
ゴリマッチョな傭兵や銃を持った警察官と対峙しても一切怯まない姿はカッコいいばかり。
身体能力を生かし鈍器を武器に戦うアクロバティックな戦闘スタイルもハーレイ・クインらしさがあって見ごたえ抜群でした。
こうしたアクションシーンは、ハーレイ以外のキャラクターにも見せ場がありました。
ラストシーンでは「女子会」と称して、仲間たちとタッグを組んで、遊園地のアトラクション内で大暴れを見せるという最高に盛り上がるシーンもあって大満足の仕上がりでした。
それぞれキャラごとに戦闘スタイルが違うのもまた良かったです。
そうした、女性たちによる逆襲が本作のテーマでした。
「女性は一人では何もできない」という偏見を、ハーレイがジョーカーの力で守られてきた過去と決別する形で描いていたのが上手かったですね。
よく指摘されている、男をマヌケに描くことで女性を優位に見せるポリコレ的表現ではなく、女性陣をカッコよく見せていたのが良かったのでしょう。
敵側に当たるローマン・シオニス(ユアン・マクレガー)と、その部下ザーズが残忍で脅威を持っているというのもまた、好敵手としてハーレイらの強さを引き立てていたのでしょう。
キャラ立ちにしろ、アクションにしろ、展開にしろ、コミックでも読んでいるかのように楽しめてしまう本作。
近年「アメコミ原作は映画じゃない」なんて声も挙がる中、あえて100%コミックの魅力を引き出していたのは素晴らしかったです。