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【レビュー】真昼の死闘(ネタバレあり)

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西部劇というのはたいてい人が死ぬものです。

そこへ、同情や慈悲というものは存在していません。

一方、シスターというと殺しとは無縁で、争い事を否定する立場にいます。

そんな、西部に生きるガンマンとシスターの真逆のタッグによる旅路を描いたのが、今回レビューする『真昼の死闘』となります。

 

あらすじは、偶然暴漢に襲われているシスターサラを助けたガンマンホーガンが、

この作品、やはりガンマンとシスターが旅路を共にするという設定が興味を惹きます。
で、なぜ二人が共に旅をするようになるかというと、シスターサラが に寄付金を渡していたことからフランス軍に追われているため、そのボディーガード的な立ち位置としてガンマンのホーガンが付き添うことになるということでした。
面白いのが、シスターの万能性です。
やはり、神に仕えるものという事もあってなのか、ホーガン初め、どの人物もシスターには頭が上がらないんですね。
いつもクールで何者にも動じないイーストウッドが、シスター相手にたじたじになるのはなかなか面白い構図でした。

 

そんな異色の設定が目を引く本作。作中にはこうした「本来のイメージと異なるイメージ」という設定がいくつか見られました。
例えば、サラはシスターであるにも関わらず、負けん気が強く勇猛果敢な性格をしています。
これによって、これまでは西部劇の女性=守られるヒロインというイメージがありましたが、相棒のような立ち位置となっていたのです。
腕を矢で撃たれたホーガンの治療をしたり、橋に爆弾を仕掛けるためによじ登ったり、銃を撃つのに苦戦するホーガンに発破をかけたりと、あらゆる場面で助けとなっていました。
一方で、ホーガンといい雰囲気になったりと、男女間の関係も見せており、動かしやすいキャラクターであったのではないかと思います。

 

このように、魅力的なキャラであるサラではありますが、個人的に一番燃えたのは、シスターでありながらもホーガンのワイルドさに惹かれるという、いわゆる「禁断の愛」にありました。
古典的なラブロマンスではありますが、西部劇の世界観ではなかなか見られない、本格的な恋愛情事は結構グッときました。
ただ、それ故にサラがシスターを偽っており、実は娼婦だったという展開は、正直ガックリさせられました。

 

とはいえ、そんなガッカリさを吹き飛ばすかのように、フランス軍へ攻撃を仕掛けるラストは見応えがありました。
銃あり、格闘あり、ダイナマイトありのド派手な展開ですから楽しくないわけがありませんよ。
西部劇にしては珍しく、1vs1の撃ちあいもなく、最後の最後まで「普通」の枠に収まらないのが面白かったです。
真昼の死闘』なのに真夜中に死闘が行われるという最大のツッコミどころをオチとして、見事(?)に締めていました。(原題は『Two Mules for Sister Sara』なので、このツッコミが通用するのは日本だけですが)

 

「ドル箱三部作」とは、異なる形で西部劇の面白さを開拓しようとしていた本作。

その一貫として描かれる強い女性の姿は、今の時代に通ずるものがありますね。