【レビュー】ランボー/怒りの脱出(ネタバレあり)
ランボーによる大暴れから約3年。(1982年12月~1985年8月)
決着したと思っていたランボーの物語になんと続きが!
2作目は失敗するというジンクスをもシルヴェスタ・スタローンが吹き飛ばす『ランボー/怒りの脱出』を今回はレビューしていきます。
<h3>【感想】ランボーの戦争はまだ終わらない!最高だけど切ない戦い</h3>
本作は、シリーズの中でも個人的に一番好きな作品です。
その理由は、アクションシーン、ランボーの過去とのつながり、スタローンの魅力、全てにおいて満足いく出来だからです。
その満足感につながる大きな要因は、おそらく一作目よりもアクションシーンをなんの戸惑いもなく楽しめたからでしょう。
一作目を見た方なら分かるかと思いますが、あちらでは、なぜランボーが暴れだしたのか理由が不明瞭。さらに、その理由はベトナム戦争の後遺症という、どこかやるせない気持ちになってしまうものでした。
しかし本作では、ベトナムに行き捕虜となった米軍兵士たちを助けるという大義名分があるわけです。
若干、命令無視でベトナム兵に攻撃を仕掛けるという私怨も出ちゃっていましたが、それでもランボーによる大暴れを痛快に楽しむのには持って来いでした。
そんな感じで、アクションを全力で楽しむために大切となっていたのがストーリーだったわけです。
ベトナムへ向かったランボーに対する政府の裏切り、ベトナム兵のアメリカ人捕虜に対する仕打ち、ソ連兵によるランボーへの拷問など、あらゆるストーリーが積み重なり、そのフラストレーションが爆発するからこそ、アクションの質も高まるというものでした。
そんなランボーが怒りを爆発させる終盤のシーンは迫力たっぷり。
野を焼き、村を焼き、敵を焼くその姿は、まさに怒りを表現していました。
また、本作はなにかとランボーが上半身裸のシーンが多いです。
その姿で重火器を放つ姿はまさに漢。
燃え盛る戦場に汗を光らせ、銃の反動で筋肉を震わせる力強さは、それだけで興奮を沸き上がらせてくれました。
「肉体美」とは、どういうものかと訪ねられたら「『ランボー/怒りの脱出』を見れば分かる」と答えるでしょう。(あるいは『コマンドー』)
一方、サイレントキルに長けていることを表すシーンもあって、ただ暴れるだけでなく、ゲリラ戦のプロであることを感じさせていました。
本作において語っておきたいのが、タイトルについてです。
邦題は『怒りの脱出』と、まあランボーが怒っていることを超シンプルに表現しています。
それはさておき原題。
こちらは『Rambo: First Blood Part II』となっているように(『First Blood』は、一作目のタイトルでもあります)、本作がランボーの戦いの第2段であることを表しています。
それもそのはずで、今回ランボーに言い渡される指令は、ベトナムで捕虜となっている米兵を救出してくることでした。
つまりは、戦争の後片付けというわけです。
しかも、彼は前作で「戦争はまだ終わっていない!」と、その心の内を明かしていました。
それを考えると、本作でのベトナム救出作戦は、ベトナム戦争でのトラウマをえぐられる前回の続きと言うわけです。
そんなわけですから、暴走するのも当然っちゃ当然。
一作目からのシリーズ巡行者なら冒頭のシーンから「あ、ランボー命令無視するな」と直感で分かるでしょう。
監督、脚本こそ前作と変わっていましたが、DNAを引き継いだ正当な続編に仕上げていたのは見事でした。(脚本にスタローンが参加しているのは前々から知っていましたが、ジェームズ・キャメロンが参加していたのは今回初めて知って驚きました)
とはいえ、今回でもランボーが救われることがないのは切なかったです。
むしろ、愛国心はあるのに国からは消耗品としてしか扱われていないことがハッキリとした分、前作よりも悪いとさえ言えます。(余談ですが、スタローンが「消耗品」と自称するの『エクスペンダブルズ』がある今だとニヤリとさせられるシーンでした)
そんなランボーの苦しみは銃を撃ちながら叫ぶ姿からひしひしと伝わってきました。
普段から感情表現の乏しいランボーだけに、ああして叫ぶのを見ると考えさせられます。
こうした一連の切ないシーンを見せられると、つくづくスタローンがランボー役としてキャスティングされていて良かったと思いますね。
何度見ても熱くなれるし、感動させられる、まさに名作と呼ぶにふさわしい本作。
見た後は必ず「たまランボー」と言いたくなりますね。