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【レビュー】アウトロー(ネタバレあり)

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トム・クルーズ主演のミステリー。
公開当時は「これを見逃す手はない!」と思い立ち劇場に行った記憶があります。
ただ、作品を見て当時思ったのは「トム・クルーズにしては地味」という印象でした。
それもそのハズで、ピッツバーグのPNCパーク(野球球場)近くで起きた狙撃事件の犯人を追うのがメインの話だからです。(作家リー・チャイルドの小説が原作)
手掛かりは足で稼ぐのが基本スタイルでした。
けれど今回見直してみて、この作品はただ「地味」なのではなく味わい深い「渋さ」を持った作品なのだと思いました。

 

その味わい深さを最も与えていたのが、アクションです。
聞き込み一つにしても、相手が逆ギレしてきたりと、紆余曲折あって最終的にはだいたい争いに発展します。
正直、もう少し穏便に情報がゲットできそうなシーンもあるのですが、トムお得意のアクションシーンを見ればそんなことはどうでもよくなっちゃいます。
相手を痛めつけ、的確に情報を聞き出すリーチャーの技にはプロらしいスタイリッシュさがありました。
『ミッション・インポッシブル』のような派手なアクションで敵を倒していくだけの爽快さとは違った、渋いカッコよさがあったわけです。

 

その渋カッコイイシーンの最たるが、街中を『70'シボレー・シェベル SS396』で爆走させるシーン。
これまた『ミッション・イン~』との比較になりますが、あちらならクールなBGMと共に次々に現れる敵をクラッシュさせるでしょう。
しかし、本作はそんな野暮なことはしません。
ただただマッスルカーが放つエンジン音とタイヤのスキール音を聞かせることで、沸々と熱い思いを込み上げさせてくるんですね。
車の魅力とトムの魅力が見事にマッチしたカーチェイスはロマンに溢れていたと言えるでしょう。

 

トム演じるジャック・リーチャーが一匹狼を地でいくのもロマンがあります。
決して周りに流されることなく自らの信念を全うする様はワイルドさは男なら誰しもが憧れちゃいます。
窮地にも臆さないクールさや的確な判断で敵を倒す強さも、そのワイルドさを引き立たせていました。
ロザムンド・パイク演じるヘレンを救出する際には、不利な状況であっても敵に主導権を握らせない交渉術も披露。
ひるむことなく敵に挑んでいく姿には痺れました。

 

最終決戦では、ライフル射撃場のオーナー、キャッシュと共に銃撃戦を展開。
ナイフ一本(途中で落とすが)で敵陣に乗り込み、男らしく武器を捨てて戦い、人質を取った裏切り者を射殺する。
そんな熱い展開がてんこ盛りの最終決戦は見ごたえ抜群でした。
キャッシュの絶妙なアシストも光っているのもいいです。
ああ、いう渋いおじいちゃんが活躍する展開は個人的に大好きなだけに盛り上がりました。
彼が戦闘前に言う「視力を貯めている」というセリフは、一度は使ってみたいセリフです。

対して、敵の親玉であるゼックも得体の知れない大物の雰囲気をまとっており魅力的でした。
ジャック・リーチャーを抜いても、全体的に登場人物がカッコイイというのは、作品として面白かったですね。

 

真実を追求するために法を破ることも辞さない「アウトロー」(無法者)
普段からメディアに露出し、誠実な印象の強いトム・クルーズですが、見事にアウトローになりきっていました。
原作でのジャック・リーチャーは、身長2メートル近くで100キロ以上の体重と表記されているらしいです。
そんなトムとの体格の差は、最近『ジャック・リーチャー』シリーズをテレビ版としてリブートする話題が挙がった際にも言及されていました。
けれど、今作を見る限りジャック・リーチャーに違和感はないし、むしろ魅力があったと思います。
それはトムの俳優としての能力が素晴らしいものだということを証明しているのでしょう。