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【レビュー】グッド・ボーイズ(ネタバレあり)

子供の頃というのは、なにもかも刺激的に感じられるものです。
楽しいことがあれば感情を爆発させて大はしゃぎし、悪いことがあればこの世の終わりのように落ち込む……
そんな無邪気さは子供の特権とさえ言えるでしょう。
今回レビューする『グッド・ボーイズ』は、そんな子供時代の素晴らしさを描いた笑えて泣ける、ちょっと下品な作品です。


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ストーリー

12歳の小学6年生のマックスはルーカスとソーの3人は「ビーンバック・ボーイズ」というグループを作っていた。

そんな3人はある日、パーティでキスゲームが行われることを聞き、いいところを見せるために、よりよいキスの仕方を知ろうとする。

彼らはマックスの父親が所有するドローンを使った盗撮で、キスの仕方を学ぼうとするがドローンを壊してしまう。

父親を怒らせたらパーティに出席できないことを恐れたマックスらは、ドローン破損を隠ぺいするため動き始める。

 

感想

本作はアメリカ本国で2019年8月16日に公開されています。
で、たまたまその週の興行収入ランキングで1位を取っていたのを見たのがこの作品を知ったきっかけでした。
そんなわけで、かれこれおよそ1年経ってようやく見れるという期待の下、鑑賞。
その感想はというと、最高でした。
なぜあまり話題となっていないのか、上映館が少ないのか、上映まで1年も待たせたのか、理解不能なくらい面白かったです。
とまあ、問題提起をしてはみましたが理由はだいたい分かっています。
下品さありきのコメディだからでしょう。
私は事前に知っていたため、お〇ぱい、オナニ〇といったアウト用語が出てきても、大人のおもちゃを使った小ネタを挟んできても「アホだなぁ」と笑って見ることが出来ていました。
しかし、知らない人からしたら「子供になんつー下品なことさせているんだ!」と、怒り心頭になるかもしれません。(私の席の2つ後ろで1人で見に来ていた女性客がどのように捉えたのか聞いてみたかったですが、不審者にはなりたくないので自重しました)
こうして考えると、住み分けという意味でも猛烈にプッシュされなかったのは良かったのかもしれません。
もし、下手に話題となって、どこかの団体から「下ネタ映画を輸入するな!」なんてなったら悲劇ですからね。

 

そんな下ネタ満載な本作ではありますが、どこが良かったのかというと主人公たちと観客との関係でした。
本作は小学6年生のマックス、ルーカス、ソーの三人グループ「ビーンバック・ボーイズ」がメインキャラです。
3人共年相応な問題児で、悩みを抱えるごく一般的な小学6年生。
それだけに、作中巻き起こる大冒険はとても壮大で刺激的だったことが分かります。
そうした彼らの刺激を観客へ伝える手法が素晴らしかったです。
具体的にどのように伝えていたかというと、やり過ぎなくらいの過剰な演出によってでした。


本作、おそらく多くの人が気づいたように、あらゆるシーンで演出が過剰です。
「壊したドローンを買いに行く」と決めただけでもまるで一大決心かのように見せていますし、大人であればちょっとしたトラブルでも絶望的な状況のように見せていました。
それらを通して、私たちもまた彼ら三人の見ている世界観に立つことが出来たわけです。
視覚的、聴覚的にも楽しめる演出はまさに映画館だからこそ楽しめる要素。満足度の高さはこうした所から生まれていたのだと思いますね。

 

本作の面白さは、メイン三人のキャラクターにもありました。
ちびっ子爽やか系で恋には奥手なマックス、圧倒的な歌唱力を持ちながらも自身の夢を追うことが出来ないソー、なんでも正直に話してしまう両親の離婚問題に悩むルーカス。
この濃いメンツによる掛け合いは、先にも挙げた下ネタ満載なユーモアの効いたものもたくさんあって面白かったです。
背伸びをしたいお年頃で、見栄を張ってみたり、わざと大人ぶったキザな態度を取ったりと「何やってんの!」とツッコみたくなる言動をするのが微笑ましくもありました。
最終的に、彼ら「ビーンバック・ボーイズ」は疎遠になってしまいますが、三人そろえばバカをやる姿を見てなんだか一安心。気づけば彼らのことを好きになっている自分がいました。
コメディに魅力的なキャラは付き物ですからね。そういう意味では本作のキャラクターは十分すぎるほど魅力的だったと言えるでしょう。

 

三人の子供がバカをやって大人になっていく姿を描いていた本作。
どんなことにも全力でぶつかっていくエネルギッシュさは懐かしくもあり、羨ましくもありました。
そんなノスタルジーに浸る間も与えないほど下ネタをぶっこんでくるのですから油断できない作品でした。