【レビュー】アーロン・イン・ザ・ダーク(ネタバレあり)
ゲームを原作に映画化された作品はたくさんあります。
本来ならそのどれもが原作のリスペクトをしているものです。
しかし、そんな原作へのリスペクトがほとんどないのが今回レビューする『アーロン・イン・ザ・ダーク』です。
原作ゲームもクソゲーであれば、映画もクソでした。
同じ「クソ」と表記しましたが、原作ゲームは個人的に好きではあります。
3Dポリゴンの粗さ、もっさりとした動き、理不尽なゲームオーバー、ループするBGM、
etc...
クソゲーではあるものの、味があって数十年経っても記憶に残っています。
対して映画はというと、チープな展開、チープなアクション、3日で内容が薄れてしまうほど盛り上がりも味気もありません。
監督はウーヴェ・ボル。同じくゲームを原作にした映画『ハウス・オブ・ザ・デッド』でも駄作を作っています。
ストーリーとしては、超常現象の調査員であるエドワードが失踪した友人を探すため、過去に所属していた超常現象対策チームと謎を追う、という割とオーソドックスな内容です。
ゲームの一作目がクトゥルー神話を題材にしているため、この改変は致し方ありません。
とはいえ、ストーリーを変えたことで原作要素は微塵もなくなってしまったのも事実。
ゲームとは全く違うキャラクター、原作には無かった組織、一切原作にないイベントの数々。もはや、オリジナルでもいいのではないかと思いました。
おそらく、ゲーム原作のネームバリューで客寄せするのが目的だったのでしょうね。私もその犠牲者と言えます。
この映画のタチが悪いのはそれだけではありません。真面目に作っているのです。
「真面目ならいいじゃないか」と言われそうですが、それは違います。
古今東西、ひどすぎる映画というものはネタにされます。
『死霊の盆踊り』然り『プラン9・フロム・アウタースペース』然り。
ただし、この作品はネタにもしにくいです。真面目に作られ、ツッコミどころが少なくなっているからです。
こうして、3日で内容が薄れてしまうような作品が生まれてしまったのですからある意味不憫な作品でもあります。
他にも不満点がチラホラ。
中でもアクションの盛り上がらなさは言っておきたいです。
基本的に敵が同じ個体の怪物しかおらず、動きがいいわけでも特徴があるわけでもありません。
それが大量に出てくるだけが見せ場なのだからイマイチ盛り上がりようがなかったですね。
そんな盛り上がらない展開ばかりでナーバスになっている所にバットエンドとくるのですからスッキリしません。
本当に最後の最後まで「なんで見てしまったんだ……」という思いにさせる作品でした。
別監督による続編もありますが、この出来を考えるとなかなか手を出しづらいです。
また、忘れた頃に見ようかな…
原作ゲーム『アローン・イン・ザ・ダーク』は3Dポリゴンゲームの先駆けと言われています。
『バイオハザード』もこのシステムをパクったのではないかという話はゲーム業界では有名です。
どちらの作品もゲームから映画化という功績を残しましたが、その差は歴然。知名度も『バイオハザード』の方が上となりました。(『バイオハザード』が日本のゲームだからというだけではないでしょう)
タイトル通り、今作は「闇の中」へ取り残されてしまったと言えるのかもしれませんね。