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【レビュー】ライブリポート(ネタバレあり)

SNSが流行している近年。 映画業界でもそれらを取り入れた作品が見られるようになってきています。 そんな時代を踏襲し生まれたのが今回レビューする『ライブリポート』です。 誘拐事件を生配信で追うという、現代らしいスタイルの作品となっています。

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ストーリー

警察官のペニーは逃走犯を追跡中、犯人を射殺してしまう。 その逃走犯は現在進行形で巻き起こっている、少女誘拐事件の身代金を取りに来た唯一の手掛かりとなり得る人物であった。 やがてもう一人の誘拐犯から少女の命のタイムリミットが64分であることが告げられた。 ペニーは配信サイトのリポーターをしているエイヴァから協力を得る代わりに事件を生配信することを許可する。

感想

大物俳優を起用し、イマイチな作品を生み出す名手スティーブン・C・ミラー監督。(例:ブルース・ウィリスニコラス・ケイジ、シルヴェスタ・スタローン) そんな勝手なイメージを持っている私ですが、彼の映画を劇場で見るのは初めてでした。 うん、こういうのが見たかった! これまで大物俳優を起用しては、なんとも味気ない使い方をしてきたミラー監督でしたが、本作に限ってはアーロン・エッカートをいい感じに使っていたと思います。 というのも、エッカートが演じたペニーは、かなりガサツで口の悪い警察官です。 そのチョイ悪な感じがエッカートのイメージとピッタリ。それだけでもなかなか好印象でした。 で、アクションシーンもバンバンやります。銃撃戦や格闘、全力ダッシュなど、ありとあらゆるアクションに泥臭くも挑む姿はこれまた彼のイメージにピッタリ。ここぞという場面で頼れる男らしさを見せるのがまたいい味をだしていました。

そんなペニーが誘拐犯を追って町を走り回るのが本作のストーリーのほとんど。 手掛かりが都合よく次々とつながっていく流れはある意味爽快。特に何も考えず見ていても内容を追えるのは良いのか悪いのか…… シリアスな話なのに見ごたえはないというのはなんとも切ない思いでした。

そして肝心のライブ要素。 これは可もなく不可もなく。 ティック・トックみたいな画面が合間合間に挟まれるのはたしかに新鮮なのですが「だからどうした」という感じなんですね。 コメントは見えないし(そもそも英語だからほとんど読めませんが……)、ハート機能も別に意味はなしていません。 臨場感という意味では効果アリなのですが、通常の撮影でもハンディカメラを使用しているのか、アクションシーンでは揺れがあって臨場感は演出されていました。 最後に生配信を見ていた視聴者が集まるという点だけは面白かったのですが、それ以外はあまり設定が生きてこなかったのは残念でした。

とはいえ、臨場感はあるため、アクション多めなのも含めて映画館で見るにはもってこいの作品でした。 誘拐犯がなぜか自ら銃をぶっぱなしながらペニーらを追ってくるというツッコミどころ満載の展開もアクションを重視すれば楽しめましたからね。 テレビだと確実に悪い点の方が目についてしまいそうです。

ティーブン・C・ミラー=俳優の持ち味を引き出せないという勝手な偏見を持っていました。 しかし、本作のアーロン・エッカートとのタッグを見ると、その考えを改めさせられました。 こうした見せ方ができるのなら、次回作での大物俳優とのタッグも楽しみになりますね。