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【レビュー】デイブは宇宙船(ネタバレあり)

エディ・マーフィーといえば『ドクター・ドリトル』か『ビバリーヒルズ・コップ』!」

そんな勝手なイメージがあります。

しかし、当然のことながらそれ以外の作品にも出演をしています。

今回レビューする『デイブは宇宙船』もその内のひとつ。

エディ・マーフィーは人型宇宙船であり、それを操縦するキャプテンでもあるという一人二役に挑戦したSFコメディです。


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ストーリー
自由の女神像のあるリバティ島に一人の男が空から飛来する。
その男は一見すると普通の人間なのだが、体内で小さな体のニル星人たちがコントロールをしている宇宙船であった。
彼らは惑星ニル存続のため、地球の海水を得ることのできる装置「オーブ」を探していたのである。
ニューヨークの街へ向かった彼らは、シングルマザーのジーナが運転する車に轢かれてしまう。
しかし、偶然にも彼の息子ジョシュが「オーブ」を持っていることを知ったニル星人たちは、自らをデイブ・ミン・チャンと名乗り、彼らとの関係を築いていく。

 

宇宙船であるエディ・マーフィー(デイブ)をニル星人のキャプテンであるエディ・マーフィーがコントロールするという設定からしておバカで面白いです。
作中でもその設定はバッチリと生かされており、真顔で突っ立っているデイブに対して、中のニル星人たちはてんやわんやというギャップは笑えました。
また、このニル星人たちがなかなか個性的。
人間の文化に嫌悪を抱く者から興味を抱く者、ガッツリ染まってしまう者までいて彼らの人間性が感じられるようでした。
そんな個性的なキャラクターたちが、キャプテンを中心に宇宙船内であれこれしているのを描いているのですから『スター・トレック』味のあるSFコメディに仕上がっていました。
なにげに、デイブの宇宙船内の構造を見せるシーンにもこだわっていて、SF設定に対する力の入れ具合が感じられました。

そんなニル星人たちが宇宙船デイブを動かして、地球人とのギャップを実感していくのが笑えるポイントです。
無難な白いスーツを選んだはずが逆に目立ってしまったり、それを着替えるために洋服店に入ってトラブルを引き起こしたりと、とにかく意思疎通が上手くいきません。
あげくの果てに、適当に相手のマネをしておくのですから当然意味不明に。相手と全く同じ内容の自己紹介を返したり、店の店員の挨拶を連呼したりするおバカな光景には笑いました。
こうした、おバカな行動によってトラブルを引き起こし、その対処に追われるはちゃめちゃさで笑いを取るという正統派なコメディをしていたのは好感が持てましたね。気分を害さない程度の面白い下ネタも入っていましたし。

これらのコメディ要素をより面白くしていたのが、エディ・マーフィーの演技であったと思います。
先ほど書いたおバカな行動はニル星人が引き起こしていますが、あくまで動いているのは宇宙船であるデイブです。
そんなデイブの暴走をエディ・マーフィーが見事に演じていたんですね。しかも真顔で。
瞬きもせず、真顔でおバカな行為に走ったり、ジョークを飛ばしたり、天然ボケを噛ましたりするシュールな光景には笑うしかありません。
その一方で、それを操縦をしているニル星人のエディ・マーフィーは頼れるキャプテンとして、カッコイイ姿を見せているのですからズルいです。
あそこまで演技に幅を持たせることが出来るというのは凄い事だと思いましたね。

そんなコメディ要素の多い本作。ストーリー性があるとすれば、デイブ(ニル星人たち)とジョシュの関係でした。
ジョシュが父親を早くに亡くしたこともあってか、デイブとは友人であり、父親代わりのような関係を築いていました。
E.T.』と『ターミネーター2』を混ぜたような展開はおそらく狙ってのことなのでしょう。(それくらい展開が似ていました)
とはいえ、この2作はSF映画でもお手本となるような作品。それをなぞっていれば面白くないハズがありません。
感動で涙が出るなんてことはありませんが、安定したストーリーになっているなとは思いましたね。

宇宙船がエディ・マーフィー
そのインパクトだけで最初から最後までいっていた本作。
コメディ要素もその設定をしっかり生かしていて、見やすいコメディに仕上がっていたと思います。