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【レビュー】ソニック・ザ・ムービー(ネタバレあり)

ゲームをする人にとってSEGAセガ)という会社名はよく耳にするでしょう。 そこの看板キャラクターであるのが、ソニックです。 音速で走る青いハリネズミの活躍をアニメーション以外で表現するのは不可能に思われてきました。 今回レビューする『ソニック・ザ・ムービー』は、その不可能に挑戦した実写化作品となります。

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感想 公開前からキャラクターデザインの問題でいろいろと揉めていたこの作品。 「始まる前からこんなので大丈夫なのか?」と心配していましたが、なかなかこれが良かった! なんといっても、原作への愛が素晴らしい。 おしゃべりでお調子者で、生意気という原作の性格そのままに、彼の特徴でもあるスピードを生かした走りやスピンダッシュといったアクションが見られるのは、ゲームを知っていると嬉しくなるような思いでした。 問題となっていたキャラクターデザインも、修正があったからか特に気になることはなく、ソニックソニックだと認識しながら見れたので良かったです。少なくとも、名探偵となったおじさん臭い電気ネズミよりかは原作に近いキャラクターデザインだったと思います。 むしろ必要だったのは、青いハリネズミが人間界に進出して、普通に話している世界観の方でしたね。

逆に本作オリジナルな要素であったのがソニックの設定です。 他の惑星からやってきて、人間に姿を見られるわけにもいかずに孤独というのは、なかなかヘビーな設定。 陽気な性格も、一人でいることに対する寂しさを紛らわせるためにやっていると思うと結構痛々しい姿に見えました。一人で何人もの違うキャラを演じるのとかもう情緒不安定なレベルですよ。 画面の切り替えを多用してソニックが孤独でないように見せる(高速で移動して違うキャラを演じる)のは、ナーバスな感情を客(特に子供)に持たせないためだったのかもしれませんね。

とはいえ、ジェームズ・マースデン演じるトムと出会ってからは、マシンガンのように話し、アホみたいにはしゃぐ微笑ましい姿が見られて一安心でした。 今回、吹替で見たのですが、そのセリフ量はハンパじゃなく、英語でも聞いてみたいなと思いました。(聞き取れないと思いますが)そのためか、アクションシーンはそこまで多めではないものの、見どころは多かった印象があります。 あらゆるシーンで喋っているため、常にソニックのキャラクターが感じられるのは良かったですね。

で、そこまで多くないと書いたアクションシーンについて。 やはり、超スピードを表現するのは結構難しいらしく、それが生かされたシーンというのはあまりなかった印象です。 最も生かされたとすれば、エッグマンが大量のミサイルを撃ったシーンくらい。 ここでも、周りの動きをスローにすることでスピードを再現しており、なんだか別能力みたいな感じになっていました。 盛り上がるシーンであることは間違いないのですが、ソニックらしさがあるかと言われるとうーんといった感じです。 その後のvsエッグマン戦で見せる、いろんなロケーションを縦横無尽に駆け抜けるシーンでは爽快感があってよかったですが「これはアクションシーンというよりチェイスシーンなのでは?」という疑問も残りました。 2022年には続編が公開されることとなっていますし、この超スピードを生かしたアクションというのはひとつの課題かなと思います。 そして、本作で忘れてはならないのが、悪役の存在です。 もはやゲームではお馴染みの宿敵エッグマン(本作ではドクター・ロボトニックで通っていました)。 演じるのはコメディアンで有名なジム・キャリーです。 多くの作品で、濃いキャラを演じてきただけに、表現力がただただ凄い! そんな彼のベストシーンは、The Poppy Familyの曲「Where Evil Grows」にのせてダンスするシーンでした。 そのキレッキレの動きは、笑える反面、見入ってしまう魅力もある圧巻のパフォーマンスです。 必要かと言われたら間違いなく不要なシーンなのですが(ゲームでもエッグマンが踊るシーンなんて見たことありませんし)、あれをカットするなんて考えられないくらいの名シーンでもあります。 ジム・キャリーの多才さには脱帽です。

このダンスシーンでも当てはまることなのですが、本作は全体を通して曲のセンスがいいです。 アメリカンな激しい新旧揃ったプレイリストは、一瞬の内にノリノリにさせてくれました。 中でも印象的であったのが、クイーンの「Don’t Stop Me Now」。 有名で何度も聞いたことのある曲であることや超スピードが売りのソニックを体現するかのような歌詞は、本作にピッタリな曲でした。 こうした曲のセンスの良さもまた、ゲームのリスペクトのようでした。

ゲーム原作でありながらも、しっかりと設定を取り入れていた本作。 次回作には、ソニックの仲間であるテイルズも登場することが匂わせていましたし、さらなるパワーアップに期待できそうですね。