【レビュー】ANNA/アナ(ネタバレあり)
リュック・ベッソン監督といえば、有名なフランス人映画監督です。 彼が手掛ける作品の傾向として、孤独に戦う暗殺者を描いた作品があります。 そうした作品は、登場人物名がそのままタイトルに反映されているものです。 『ニキータ』や『レオン』、『LUCY/ルーシー』なんかがそれに当たるでしょう。 そんな、リュック・ベッソンが手掛けた3作品を彷彿とさせる作品が、今回レビューする『ANNA/アナ』となります。
ストーリー
1980年代後半。 ソ連KGBのエージェントであるアナは、1年間の過酷な訓練の後、現場に出るようになって数年が経過していた。 KGBは彼女に「軍事訓練1年、現場勤務4年、その後は自由」と伝えており、アナにとってはそれが目標でもあった。 しかし、KGB長官のワシリエフからその言葉が嘘であったことを伝えられる。 ある夜、任務中にKGBであることがバレたアナはCIAによって拘束されてしまう。 そんな中、CIAエージェントのレナードが出した提案は、自由と引き換えにKGB長官ワシリエフを殺すことであった。
感想
本作は、見る前も見た後も思いましたが『アトミック・ブロンド』に非常に似ている気がします。(あちらはMI6所属でしたが) 自由を得るために、二重スパイでも何でもやってのける度胸は、衝撃的で痛快。何度見ても面白いです。 そんな面白さが本作にもありました。 中でも効果的であったのが、時系列のシャッフルです。 普通なら「裏切りの算段→実行」となる所を、「実行(裏切り)→実はこんな算段してました」という後出し形式でやっていました。 普通にやるよりも衝撃は大きい分、失敗すれば見ている側が混乱する諸刃の剣のような手法。ただ、個人的にはそこまで混乱することもなく、いいインパクトになっていたように思います。 問題点があるとするなら、何回も同じ手法を取っているため、終盤になるにつれて「何か裏があるな」と先の展開が読めてしまうということ。アナの死の偽装なんておおよそ予想出来てしまい、実際にその通りになってしまったので少し残念かなといった感じです。 とはいえ、普通にスパイものとして楽しめるため、そこまでマイナス要素でもありませんでした。 アナがKGBとCIAの間に板挟みにされ、窮地に追い込まれる展開なんて見ごたえありましたしね。 ターゲットを殺したとKGBに嘘を吐いたものの、証拠が必要になりターゲットの指を生きたまま切り落とすシーンは印象的でした。あれくらい無情でないと自由は掴めないのだと思い知らされました。 本作においてぜひとも語っておきたいのが、主人公アナを演じたサッシャ・ルスについてです。 ヘレン・ミレン(KGB上司)、ルーク・エヴァンス(KGB先輩エージェント)、キリアン・マーフィー(CIA)と、名だたる俳優が揃っている中、ほぼ無名なサッシャが主演を張るというのはなかなかの驚きでした。 ちなみに彼女は、リュック・ベッソン監督作『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』で長編映画デビュー。この頃から目を付けていたんですね。 演じたのは、惑星ミールのパール人の姫。(序盤に崩壊する惑星の種族)CG加工され過ぎて誰だかほとんど分かりません。 しかし、本作では彼女を徹底的に使い倒しています。 タイトな服からカジュアルな服まで色々着せていますし、髪もポニーテールオールバックや下した状態、ボサボサになっている状態など様々。 美しいロシア人モデルをセクシーにもクールにもキュートにも見せていました。 そんな中でも目を引いたのがアクションシーン。 スタントをなるべく使わず、自身で行ったというのですから驚きです。 で、リュック・ベッソンも絶賛していたのがレストランでの戦闘シーンでした。 かなりボロボロになりながらもキレのある動きで敵を倒していく様子は、見ていて爽快!本作の最も盛り上がるシーンでもありました。 彼女の全身を映しながらの臨場感ある画が撮れたのも、本人がアクションをしたからなのかもしれませんね。 ロシア人モデルであったサッシャ・ルスを主演に据えた本作。 美しく、カッコよく、セクシーな魅力を持っていると同時に、アクションも出来るというのは大きなアピールになっていました。 今後、彼女がどのように映画業界に関わってくるのか楽しみですね。