【レビュー】ピラニア リターンズ(ネタバレあり)
3D映画といえば今となっては珍しくありません。
しかし、2010年にはまだ普及し始めの段階。3D映画というだけでも売りとなっていました。
そんな3Dとして公開された『ピラニア3D』からさらにパワーアップしたのが、今回レビューする『ピラニア リターンズ』です。
原題も3DにDを追加した『Piranha 3DD』とパワーアップ!
ストーリー
湖は封鎖され、ピラニアたちの駆除が行われていた。
しかし、ピラニアたちは地底湖を通じて移動をしていたのである。
ピラニアたちは、数日後にオープンする予定のウォーターパーク「ビッグ・ウェット」へとたどり着くのであった。
感想
一昨目『ピラニア』を見ていて、結構な期待を持っていた本作。
「なんてガッカリな作品なんだ!」と憤りを感じるくらい酷かったです。
これ、B級映画だからネタとして言っているわけではなくガチ。
冒頭でパワーアップと書きましたが、当てはまるのはタイトルだけで、中身は完全に失敗作でした。
一番疑問であったのが、二番煎じ。
なぜ、新たな要素もロクにないまま続編を作ったのでしょうか。
焼き増し……見方によっちゃ劣化版としか言い様のない展開には開いた口が塞がりません。
「ピラニアの扱いがよければ……」と思いましたが、CGでも登場人物は少な目で、前作よりも脅威を感じない扱い。
「せめて登場人物だけでも……」と思えば、下品であったり(面白くない)、何も考えていなかったりと、前作のように応援したくなるようなキャラはいない状態でした。
かろうじて良かったとすれば前作にも登場していたクリストファー・ロイドとヴィング・レイムスが続投し、しっかりと存在感を残していたことでしょう。
海洋生物の専門家として説明をするだけで存在感を残すクリストファー・ロイドも凄いですし、ネタキャラなのに作中一番カッコよく見えるヴィング・レイムスも凄かったです。
彼ら二人を見れただけでも続編の価値はあったのかもしれません。
俳優ネタで触れておきたいのが、デヴィッド・ハッセルホフの存在。
おそらく、本作を鑑賞した方なら彼を知っていようが知っていまいが頭に残ったハズ。
彼は『ベイ・ウォッチ』を代表作のひとつとする大物俳優(そして歌手)です。
本作ではパロディネタから歌の披露まで行っています。
おそらく、彼のことをよく知っていれば楽しめるハズでしょう。
ただ、くどい。圧倒的にくどいです。
ピラニアパニックが始まってから、主人公らと同じくらいの比率で彼を映しているんですよね。
彼の存在を知っていればまだマシですが、知らなかったらこれは地獄でしょう。
ピラニアパニックそっちのけ、主人公たちの活躍そっちのけで、知らないおっさんの変なパロディギャグを見せられるんですから。
大物俳優登場にしたって使い方次第じゃただの迷惑になるだなと痛感する起用でした。
そして本作のかなめとも言えるエログロ要素。こちらも前作には劣るかなといった印象です。
まず、エロ要素では露骨に脱ぎすぎています。
たしかに、エロ要素に全裸シーンは必要です。
しかし、プールだというのに水着の女性はほとんど見れていません。露骨に脱ぎすぎているから。
個人的な見解ですが、水着もファッションの一部です。
そこに美やエロスは宿ると思っています。
しかし、本作では全裸ばかり。これではエロスは半減されると言っても過言ではありません。
そこら辺が前作の方が網羅されていたと思います。
続いてグロ要素。こちらは圧倒的な差で前作の方がいいです。
悪趣味ながらも見てしまう、そんなアート的な気持ち悪さが前作にはありました。
例えば、グライダーで飛び立った女性の下半身がごっそりなくなっていたり、引っ張りあげた男の体の半分以上が骨になっていたり。
「人間の体ってこんなことになるのか」と、一瞬好奇心を抱かせるようなグロを展開していたんですね。
対して、本作は前作のグロをなぞった表現が多く、斬新なグロがありません。
むしろ、男が自らチンコを切り落としたり、悪役が首をチョンパされたり、汚職警察がモリに刺さったりと、ピラニアに絡まない、どこかのスプラッター映画で見たことあるようなグロばかりを連発していました。
ラストの歩くピラニアによるグロシーンでは、子供の首を吹っ飛ばすなんて悪趣味なことをしていましたし、人を驚かせるためのグロを意識していたように思えます。
こうしたグロシーンも嫌いではありませんが、前作の衝撃と比べると圧倒的に前作の方が良かったですね。
続編とはどうしても前作と比較されがちなもの。
しかし、進化しなかったピラニアが前作を上回ることが出来なかったのは当然のことなのかもしれませんね。