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【レビュー】リターン・オブ・ジーパーズ・クリーパーズ(ネタバレあり)

23年とはかなりの年数です。 子供は大人になりますし、大人も初老に。年を取ってしまい昔のように動けなくなる人もいるでしょう。 23年とはいかずとも、シリーズ開始から19年経った現在。(1作目は2001年) シリーズ3作目として製作されたのが、今回レビューする『ターン・オブ・ジーパーズ・クリーパーズ』です。

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ストーリー

23年ごとに23日間現れるというモンスター、クリーパーがポホ郡に現れ、トリッシュとダリーの姉弟を襲った少し後。
現場で捜査をしていた巡査部長デイヴィスのもとに、23年前にクリーパーと対峙した過去を持つ保安官ダンが現れる。
この後もクリーパーによる脅威が続くことを知ったデイヴィスはダンと共にその行方を追うことにした。

一方、23年前に息子ケニーを奪われた母親ゲイレンは、霊となった彼の声を聞き、庭にクリーパーの体の一部が埋められていることを知るのであった。
そんな狂気に駆られたゲイレンの姿に孫娘アディソンは嫌気を感じていた。

感想

シリーズ3作目となる本作。
けれど、時系列的には1作目と2作目の間に当たる作品でした。
当然ながら、1,2作目を見ていなくてもモンスターことクリーパーの説明はされており、その大暴れが見られるスプラッターホラーとなっています。

しかし疑問に思ったのが、2003年の2作目からなんで14年も経過した2017年に本作を製作したのかということです。
内容を見ていても、やっていることはいつもの『ジーパーズ・クリーパーズ』
クリーパーが人間たちをエサに殺戮を繰り返しているだけでした。
斬新な設定や目新しいCGもなく、見ている間ずっと頭を捻っていました。

それが分かるのがラストシーン。
1作目で弟ダリーを奪われたトリッシュが23年の時を経てクリーパーに復讐を果たす宣言をするのです。
これには、シリーズ通して見ている人間として盛り上がらずにはいられません。
俳優もちゃんと1作目に演じたジーナ・フィリップスですし、これは嬉しいサプライズでした。
他にも、作中登場する巡査部長デイヴィスが一作目同様ブランドン・スミスが演じていたり、アディソンを支える男バディが2作目でクリーパーに襲われるバスケットボールチームに所属してたりといった、シリーズとつながっている要素があるのが個人的には面白かったです。
ただ、これらのシリーズの共通点を除くと、基本的には上に書いたようにイマイチな盛り上がりでした。

1作目のシリアス要素と2作目のクリーパーとの攻防を足したような流れは悪くなかったと思います。
やはり痛かったのが、それらの要素をまったくと言っていいほど面白くできていなかったことでしょう。

メインでもあるクリーパーとの攻防は14年前の2作目を下回る出来。
クリーパーが、トラックの罠や武器などに頼りすぎていて、彼自身の脅威をまったく感じさせないのが残念な点です。
しかもトラックが強すぎて人間は自滅しちゃいますし。

スプラッターシーンでも、カメラを反らしたりすることで肝心な部分は見せないようにしており、正直手抜きすら感じさせていました。
そもそも本作、夜のシーンがないため、ホラー感がほとんどないんですよね。
明るいおかげでクリーパーの特殊メイクが見易かったのが唯一の利点だったかもしれません。



さらに酷かったのがシリアス要素。
本作、クリーパーの襲撃シーン意外では、過去に息子を奪われたゲイレンがその正体を探るということをしていました。
これは素直にワクワクしましたよ。
なんてったって過去シリーズでは判明しなかった大きな謎なわけですから。
そして「お前の正体が分かった」というメモを見て怒りを露にするクリーパー!さらにワクワクが加速します。
その正体は……分かりませんでした。
ふざけてるのかと思いましたよ。
「分かったことがあるとすれば、やつは23年ごとに23日間人を食うこと……」って、それ1作目の冒頭から言ってる都市伝説です。
おまけに、2作目にあったような大きな戦いもなく「クリーパーが去ったからいいか」とでも言わんばかりの投げやりな幕引き。
まるで、質の悪いオカルト番組でも見せられた気分でした。



シリーズファンでもそうでない人にもおそらく不満が残ったであろう本作。 しかし、ラストシーンのトリッシュ登場は、数少ない盛り上がるシーンであったと言えます。 1作目公開の2001年から23年後の2024年に、シリーズ完結編が来ることをうすーく期待しています。