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【レビュー】海底47m 古代マヤの死の迷宮(ネタバレあり)

サメ映画の続編というと、かなりの有名作か、あるいは斬新さで話題にならないと実現しないものです。
ましてや、ワンシチュエーションによる効果で盛り上げた作品ならなおのこと無謀と言えるでしょう。
そんな中『海底47m』からほぼ丸3年。前作同様ヨハネス・ロバーツ監督によって製作されたのが、今回レビューする『海底47m 古代マヤの死の迷宮』です。

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ストーリー

高校生のミアは、義理の姉妹になったサーシャと馴染めずにいた。
そんなある日、二人は船中からサメを見るツアーへと出かける。
しかし、サーシャの友人アレクサとニコールに誘われ、4人で海底洞窟を探検することになった。
人気のない場所から潜り始めた彼女らは、海底に眠る古代遺跡を堪能するが、出口が分からなくなってしまう。
そこへ現れたのは、盲目のサメであった。

感想

まず見終わって思ったのが「タイトル関係ないじゃん!」ということ。
47メートル潜ったかどうかよく分かりませんし、そこまで海底である必要もなかったですからね。
まあ、続編でタイトルそのまま、実際の内容と噛み合わないなんてことはザラにありますし、ダイビング要素があっただけでも良かったのかもしれませんね。

では、肝心の内容はどうかというと……これがイマイチ。
なんというか、ここまで迷宮×サメパニックが合わないとは思いませんでしたね。
暗いし、狭いし、ダイビング装備つけてるしで、誰がなにをしているのかが凄く分かりづらかったです。
会話ができることが救いとはなっていましたが、キャラ付けもそこまでされていないのがまたネックに。
「〇〇危ない!」とか言われても誰かも分からない状態でした。

肝心のサメもなんだかイマイチ。
不意打ちであったり、袋小路のミアたちに襲い掛かったりと脅威が薄めでした。
その原因となるのが、本作のサメが盲目であったこと。
今回登場するサメたちは、海底にいたことから視力が退化し、盲目となっていました。
そのため、ことあるごとにミアたちに接近をしてはスルーするというシーンが何度もあるんですね。
初めのうちはそこに怖さを感じることもあるっちゃあるのですが、そのパターンを何回もするので怖くなくなっちゃいます。
もともとホラーではないとはいえ、サメパニックで驚かせる手法が少ないのは残念に思えましたね。
余談ですが、サメって嗅覚や聴覚が優れており、視覚よりもそちらに頼って獲物を襲っていると聞きます。
盲目の設定は果たして生きていたのか、そこが気になりました。

面白かったとすれば、ラスト10分程。ミアとサーシャが外海に出てからでした。
まさか、船中からサメを見るツアーと遭遇して外海のサメと戦うことになるとは。
サメが執拗に追ってくる恐怖、流れ出る血、僅かな武器を使っての撃退。こういうのが見たかった!
やはりサメは暴れてなんぼ。特殊なシチュエーションよりも王道に限りますよ。
心なしか演出も生き生きとしており、ミアとサメとの戦いを盛り上げるいいクライマックスに仕上がっていました。
簡素ながらもサーシャとの姉妹の絆が深まった描写もありましたし、終わりよければ全てよしでした。

迷宮×サメという斬新なシチュエーションでチャレンジを見せていた本作。
その結果は(個人的には)、イマイチでした。
しかし、エンドロールで「撮影においてサメは傷つけていない」というユーモアを見せていたり、「サメに殺される人間は年間10人にも満たない、人間に殺されるサメは年間1億匹」というサメに対する認識を改めさせたりと、サメに対する愛を見せていました。
サメのCGも他のサメ映画と比べると出来栄えがよく、ヨハネス・ロバーツ監督がつくづくサメ好きなのだということが伝わってきました。