【レビュー】ドリームシップ エピソード1/2(ネタバレあり)
世の中にはパロディ映画というもの数多く存在しています。
しかし、その大半が自国の映画をパロるものです。(個人的なイメージですが)
そんな中、大胆にもハリウッドの大作をパロってドイツで大人気となった作品が、今回レビューする『ドリームシップ エピソード1/2』です。
タイトルは2分の1ですが、続きものではないし、続くものでもありません。
ストーリー
西暦2304年。火星に植民地を作っていた反乱軍からの攻撃を受け、地球は侵略される間際にまで追い詰められていた。
メタファ女王は元老院たちと話し合い、300年前にタイムスリップをし、火星に植民地ができるきっかけとなったUFO墜落をなかったことにする作戦を立てる。
その任務に選ばれたのは、ドリームシップ号の船長コークを含めるオカマ3人たちであった。
感想
「なんてひどい映画だ!」パロディ映画に限っては褒め言葉であるこのセリフを送りたくなる作品でした。
そんな本作のパロディのベースとなっていたのが『スター・ウォーズ』と『スタートレック』の宇宙SF二枚看板でした。
まあ言い逃れできないくらいパロっていましたね。
宇宙の帝国軍を占める皇帝もどきとダース・ベイダーもどき。
それに対するは、エンタープライズ号ならぬドリームシップ号の乗組員コーク船長(カーク船長)、Mr.スパック(Mr.スポック)、シュロッティ(スコット?)の面々でした。まさに、『スタートレック』と『スター・ウォーズ』の夢の共演です。
また、あらすじにも書いている女王や元老院は『スター・ウォーズ』由来でした。
こうした、パロディ要素が一目でそれと分かる辺り、上手く特徴を抑えていたと言えるでしょう。
そんなパロディ世界観に負けない存在感を放っているのがキャラクターたちでした。
先ほど挙げた人物名だけでもなかなかのインパクトですが、中身はもっと凄かったです。
中でもドリームシップ号の3人のキャラの濃さは凄まじいばかり。
オカマで歌と躍りが好きで能天気な自由奔放ヤロウという設定は、5秒に1度くらいの頻度でネタを挟んできます。
しかし、そのどれも笑いのツボを外さないからなかなかにすごい。
オカマネタや下ネタ、毒舌、顔芸、ユーモアなどなど、バリエーションにも富んでおり、飽きることなく見ることができました。
また、個人的に下ネタであっても不快にならないレベルであったのは好印象でした。
そんな90%以上がネタでできている作品ですが、一応ストーリーに筋が通っているのも面白いです。
地球への総攻撃を阻止するため、300年前に戻るという展開は、ツッコミどころ満載でありながらもSF設定をちゃんと生かしていました。
そこから巻き起こる中世ヨーロッパ時代や西部開拓時代を経由しての冒険も時代に沿ったネタが豊富で面白かったです。
終盤には敵のボス(ダース・ベイダー的立ち位置)とライトセーバーもどきのものを使っての戦いもあり、物語としての盛り上がりもあったと言えます。
最終的にはハッピーエンドへとつながっていましたし、物語としても最低限楽しめたのは良かったですね。
パロディ要素もネタも満載であった本作。
けれど作中の歌"Space Taxi"のダンスシーンのような「ふざけているけれど癖になる」要素も多く、見ていて楽しかったです。
こうしたノリノリになれるネタ映画は定期的に見たくなる面白さがありますね。