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【コラム】ジョニー・デップの『ファンタスティック・ビースト』降板問題についてのまとめ他

11月6日にあるニュースが報じられました。
それは、俳優のジョニー・デップがDV疑惑容疑の裁判で敗訴し、それにより『ファンタスティック・ビースト』シリーズから降板が決まったというものでした。
ジョニー・デップといえばシリーズの中でも悪の親玉であるグリンデルバルドを演じていました。
意外とはまり役であっただけに、これはなかなか驚きのニュース。
興味があったため、簡単にまとめたり、個人的な思いを書いてみました。

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事件の流れ

ここでは大まかに事件の流れを追っていきます。
事件には欠かせない人物アンバー・バードとの結婚から見ていきましょう。



<2011年10月>
ラム・ダイアリー』にてジョニー・デップとアンバー・バードが共演。(2009年3月に撮影開始)

<2012年6月>
二人が交際をしていることがリークされる。

<2014年1月17日>
婚約を発表。

<2015年2月3日>
ロサンゼルスの2人の自宅で結婚式を行う。(8日にはバハマで挙式)

<2015年3月>
ジョニーが『パイレーツ・オブ・カリビアン』のシリーズ5作目をオーストラリアで撮影中に右手を負傷。手術のため、一時帰国する。

<2016年5月23日>
アンバーが「和解しがたい不和」を理由に離婚申請。

<2016年5月27日>
アンバーが顔に痣のある姿で裁判所を訪れ、家庭内暴力を受けていたとし、ジョニーに対する接近禁止命令を申請する。

<2016年8月16日>
示談により約1年半の結婚生活に終止符を打つことで合意。ジョニーがアンバーに700万ドル(約7億円)支払うことを条件に、家庭内暴力を受けたという訴えを取り下げた。

<2017年1月13日>
離婚がロサンゼルスの裁判所で成立。

<2018年12月>
アンバーが米ワシントンポストにジョニーのDVを告発する記事を寄稿する。(名前は言及されていない)

<2019年3月>
名誉を傷つけられたとして、ジョニーがアンバーに対して約56億円(5,000万ドル)の損害賠償金を請求。(裁判はまだ行われていない)

<2020年7月7日(約3週間)>
ジョニーが英メディア「ザ・サン」誌へ対して名誉棄損を訴えた裁判が行われる。(訴訟を起こした時期は不明。2018年12月の記事がきっかけらしいので2019年の内のいずれか)
<2020年11月2日>
イギリス高等裁判所が報道内容は「概ね真実」と判断し、ジョニーの訴えを退けた。



ざっくりとですがこのような流れとなっています。
ジョニーとアンバーの離婚問題は泥沼化しており、離婚問題以外の訴訟なんかも起こっているようです。
また、現在進行形でジョニーがアンバーを訴えていることや、今回の敗訴をジョニーが上告する予定だと語っていることなどから、まだまだ波乱は続くことが予想されます。

さて、おそらくこの流れの中で「なぜ入れたのか?」と疑問に思われるであろう出来事が、2015年3月のジョニー・デップが指をケガしたという話。
これを書いた理由は、今回の裁判で一つの争点として話題となっていたからでした。
このケガの話は当時、「ジョニーがゴーカートに乗っていてケガをした」と言われていました。
しかし、今回の裁判ではジョニーが「アンバーが投げつけた瓶によって骨を砕かれた」と主張し、アンバーが「酔ったジョニーが暴れまわり自ら欠損した」と主張しています。
そもそも、指(中指)を欠損していたことすら初耳だったんですが……(手術によりくっついたそうです)

他にも、ベッドに誰かが排便したという論争に発展したりと、裁判はかなりの混迷を極めたようでした。
そうしてようやく判決が出たわけですが、ここから上告するとしたらさらなる争いを生み出しそうで恐ろしいばかりですね。

ジョニー・デップ降板について思う所

今回、記事を作成した主な理由がこれについて書こうと思ったからです。
上に書いた「事件の流れ」を見てもらうと分かるかもしれませんが、今回の訴訟はジョニー・デップ自らが名誉棄損に対して起こしたものです。
そのため、別に新たな事実が明らかになったわけではありません。
また、判決も「概ね真実である」と、サン紙の書いたジョニーがDV夫であるという指摘が間違いではないことを認めているだけでした。

にも関わらず、ワーナー・ブラザーズが取ったのは、彼に対して"辞任するように頼む"という対応でした。
まあ、こんなこと言われたらまともな人間なら身を引くでしょうし、実質解雇通知みたいなものですね。

ではなぜ、このタイミングで言い渡したのかなのですが、実は2作目の時からジョニーを起用することに対する一定の苦情が来ていたそう。
そうした、バッシングのさらなる加熱を予測しての今回の実質解雇に踏み切ったのかもしれません。

しかし私個人の思いとしては、やはりジョニー・デップにはそのまま役を継続してもらいたかったですね。
たしかに、彼に対していいイメージがないことは認めます。
けれど、あくまでそれは私生活での話であり、演技のクオリティに影響するかといえばそれはないでしょう。
現に2作目では問題を抱えているにも関わらず、グリンデルバルドを魅力的に演じていたわけですからね。

そうしたグリンデルバルド=ジョニー・デップというイメージは、既に多くの人の間で定着しており、シリーズ3作目に彼が出演しないというのは魅力の損失とも言えます。
その証拠に、今回の降板を受けて彼の再起用を促す署名活動も行われているようです。
私生活と演技の質は別問題。逮捕沙汰にまで発展してないわけですし、どうにか 3作目までは演じて欲しかったですね。

ちなみに、代役はコリン・ファレルが噂されていましたが、彼は『ザ・バットマン』でペンギン役を務めるらしくキャスティングにいたらなかったとのこと。
現在、有力候補はマッツ・ミケルセンだとか。
悪役は慣れたものでしょうが、若干渋すぎる気もします。
どうやってジョニー・デップばりのカリスマ性を見せるのか気になりますね。(まだ正式に選ばれてはいませんが)



ジョニー・デップの『ファンタスティック・ビースト』降板騒動。
その裏側にはアンバー・ハードとの泥沼離婚問題が関わっていました。
そのため、報復としてアンバー・ハードを『アクアマン2』から引きずり下ろそうと署名活動をしている人間もいるそうです。(彼女もジョニーに負けず劣らずのスキャンダルを持っているため、そこをつついているのだとか)
映画ファンとしては、シリーズものの登場人物は同じ俳優に演じてもらいたいもの。
今回のワーナー・ブラザーズの対応はおそらく2作目でのジョニー・デップ起用に対する批判を考慮してものでしょう。
意見を言うのは自由ですが、周りがあーだこーだと声を大きくしすぎるのも問題なのかもしれませんね。