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【ネタバレあり・レビュー】太陽の中の対決 | 白人として生まれ、インディアンとして生きた男の孤独な戦いを描いた西部劇!

インディアンと白人というのは相容れない存在です。
そうした対立の模様は、西部劇ではもはやお約束の展開だと言えるでしょう。
今回レビューする『太陽の中の対決』は、白人がインディアンに育てられたという設定の作品です。

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ストーリー

19世紀後半のアリゾナ州
アパッチ族に育てられた白人男性ジョン・ラッセルは、養父が亡くなったことから遺産として宿屋を手にした。
その宿屋を売ることにしたラッセルは、経営者であるジェシーと衝突しながらも宿屋を売り払い大金を手にした。
新天地へと向かうことにしたラッセルは、ジェシーと共に駅馬車に乗るが、そこでグライムス率いる強盗団と遭遇する。
ラッセルは遺産を守るためグライムスと敵対する。

感想

西部劇の主人公といえば大抵がローンウルフ。一匹狼です。
けれど、本作の主人公ジョン・ラッセルアウトローを気取っている訳でもなく、本当の意味で一匹狼でした。
というのも、彼は白人として生まれながらもアパッチ族(インディアン)に育てられたという過去を持っているんですね。
たしかにインディアンの仲間たちとは意気投合しているのですが、ひとたび白人社会に出れば彼は異質の存在に。
「野蛮で危険」という偏見を向けられるラッセルの姿は、そのままインディアンに対する偏見を表しているようでした。

そんな偏見を受けるのがラッセルなわけですが、彼がまたカッコいいんです。
駅馬車強盗に襲われようが、銃撃戦に、なろうがいつも冷静沈着。
駅馬車に乗り合わせた一行が彼を頼りにし、道中を共にするのも頷けるクールさを持ち合わせた男らしい男でした。
そんなラッセルを演じるのはポール・ニューマン
初登場時にはインディアンらしい服装とロン毛で登場し、その後からは髪を短くしカウボーイハットを被ったいかにもなガンマンスタイルで登場します。白人であり、インディアンに育てられたというの設定が分かりやすいです。
冷静沈着で口数も少ないけれど、主人公であることを忘れさせない風格はさすがの存在感でした。
決して多くはありませんが、銃撃戦を繰り広げるシーンもあり、確実に相手を仕留める手腕でガンマンとしてのカッコよさも見せていました。

そんな本作はラストがとにかく切なかったです。
それまでインディアンとして育てられ、白人に対する情などまったくなかったラッセルが、ジェシーらの姿を見て助け合うという選択肢を見出だすんですね。
インディアンとして育ってきた彼の中にも白人の魂が宿っていたということを表していました。
しかし、彼はグライムス一味と刺し違える形で命を落としてしまいます。
この白人の魂を賭けた戦いに孤独ながらも挑むラッセルの姿と、ジェシー以外はその尊い犠牲を知らないという切なさはなかなか心に刺さるラストシーンでした。
最後の最後まで孤高の男として居続けるのは、カッコいい反面、儚さも感じさせました。