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【ネタバレあり・レビュー】夕陽の用心棒 | ジュリアーノ・ジェンマの伝説のはじまりとなる作品!

ジュリアーノ・ジェンマといえば、西部劇でブレイクした俳優です。 その爽やかな顔立ちと、軽快な身のこなしはマカロニ・ウェスタンの花形ともなりました。 そんなジュリアーノ・ジェンマが一躍有名となった作品が、今回レビューする『夕陽の用心棒』です。

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ストーリー

クリスマスが間近に迫ったテキサスの街。 サンチョ率いる一味が銀行を襲い大金をせしめる事件が起きた。 逃走中にサンチョが負傷したことから一味は、地主の父と娘ルビーが営む農場に人質を取り立て籠った。 手出しの出来ない状況に陥った保安官ベンは、殺人容疑で逮捕していた腕利きガンマンのエンジェル・フェイスことリンゴに手助けを求める。

感想

ジュリアーノ・ジェンマがまだモンゴメリー・ウッドの芸名で演じていた頃の作品。 本作がきっかけで、本名であるジュリアーノ・ジェンマで活動をすることを決めたとも言われています。 それだけに、本作はジュリアーノの魅力全開の面白い作品でした。

とはいっても、他の西部劇と異なって銃をバカスカ撃ったりはしません。 では、何が面白いのかと言ったらジュリアーノが演じるリンゴのキャラクターです。 人を食ったような性格ではあるものの、根は紳士なナイスガイ。 巧みな話術で丸腰でも悪党をいなしてしまうその立ち回りは、見ていて痛快でした。 一方で、ここぞという場面での戦闘時にはガンマンとしての確かな腕も見せていてカッコいいです。 ラストシーンでは、サンチョら悪党を壊滅させて、ルビーに対して粋な対応をしつつ、その場を去っていくのですからザ・西部劇の主人公。 反面、宣言した金はしっかりと頂いていく彼らしさも見せており、最後まで魅力たっぷりなキャラクターでした。

そんなジュリアーノ演じるリンゴの最大の魅力がルックスです。 それまでの西部劇で、ガンマン=渋い男というイメージを覆す彼の爽やかなイケメンフェイスは斬新かつ記憶に残るものでした。 "エンジェル・フェイス"という二つ名にも納得のルックスであったと言えますね。

そんな爽やかルックスのジュリアーノが主演であるからか、作風も若干明るめ。 サンチョ一味が押し掛けてきた農場でも、人質の娘ルビーらはクリスマスの準備を進めていますし、ルビーの父は一味の一人、ドロレスといい雰囲気になっていたりと緊張感に欠けていたように思えました。(一応、平静を装うためという大義名分はありましたが) そのため、エンニオ・モリコーネが手掛ける音楽も重厚な曲というよりは、明るく軽快な印象を受けるものが多かったです。 とはいえ、これらが悪かったかと言えばそうでもありません。 先にも書いたように、爽やかルックスのジュリアーノにはこの明るめな作風はあっています。 終盤のサンチョとの銃撃戦では、装飾品のベルに跳弾をさせて狙撃するという予想の斜め上をいく技を見せおり、これまた明るめな作風があればこそ受け入れられる要素でした。 それまでの西部劇にあったイメージを壊し、新たな風を呼び込んだのは作品の大きな魅力であったと言えるのでしょう。


ジュリアーノ・ジェンマが、モンゴメリー・ウッド名義で大きなヒットを当てた本作。 ヒットの理由は、彼がリンゴというキャラクターを好演したからこそ評価されたということが窺えました。 ジュリアーノ・ジェンマを語る上では見ていることは必須だと言える作品でした。