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【ネタバレあり・レビュー】ビバリーヒルズ・コップ3 | これが最後(?)のアクセル・フォーリー!

前作『ビバリーヒルズ・コップ2』から7年。
エディ・マーフィー演じるアクセル・フォーリーが帰ってきた!
そのシリーズ3作目となる作品が今回レビューする『ビバリーヒルズ・コップ3』です。

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ストーリー

デトロイト市警に刑事アクセル・フォーリーは、違法な自動車解体業を行っている工場に仲間たちと共に突入する。
しかし、そこに待ち構えていたのは工場内の人間を皆殺しにした武装集団であった。
撃ち合いの末、トッド警部が殉職したことからアクセルは武装集団を追い始める。
残っていた手掛かりから彼は、ビバリーヒルズにあるテーマパーク「ワンダーランド」へと潜入した。

感想

冒頭にも書いた通り7年ぶりの続編となっていたこの作品。
正直、なぜ作ってしまったんだ……というガッカリしてしまう出来でした。
駄作というわけではないのですが、1,2作目の出来を考えるとやはりダメな要素の方が目立ってしまうというのがあったんですね。

で、どこがダメだったのかというと、アクションに力を入れ過ぎていたからではないかと思います。
一見、アクションが多めならいいように思えますが、このシリーズの強みはアクセルのキャラクターの濃さにありました。
どんな窮地でもユーモアを忘れなかったり、巧みな話術で「そんなのアリか」と思うような危機回避を見せたりするのが面白かったわけです。
しかし、本作ではその要素をアクションで潰してしまっていました。
窮地に置かれたら力技で押し切ろうとするアクセルの行動には、シリーズを通して見ている身としては首を傾げるしかありません。

既存のキャラクター……本作では1,2作目に登場したローズウッドが再び登場するのですが、彼も2作目の頃と比べるとだいぶ丸くなった気がしました。というか、彼のキャラクターが掴めるほど登場していませんでした。
本作にはもう一人、既存のキャラクターがいました。それがオネエキャラのサージです。
1作目ではヒロインのジェニーが働く画廊にいただけで、時間にして5分も出演していなかったであろう人物。
シリーズを通しで見ていたから覚えていましたが、当時劇場で見た人たちは果たして覚えていたのでしょうか……?(1作目からだとおよそ10年経っています)
本作ではこのサージが結構重要なキャラクターで、アクセルにスパイ組織もビックリな武器をくれます。(キーホルダー型スタングレネードと無駄な多機能機関銃)
1作目の時よりもずっと長く出演もしており、なんなら本作で一番キャラが立っていたかもしれません。
思わぬ形で活躍を見せるキャラクターでした。

で、このサージとの会話シーンもそうなのですが、本作はやたらと横道にそれる印象がありました。
テーマパークで観覧車から子供を救い出す下りもそれに当たるかと思います。
たしかに、コミカル+アクションを主体とした作品なので、だいたい横道にそれても作品が崩れることはありません。
ただ、それをやるのならもっとキャラクターの魅力を描いて欲しかったというのが個人的な意見でした。


さて、ここまではイマイチな点を挙げてきたわけですが、もちろん良い点もありました。
まず、序盤の方にも書いたアクションの多さ。これがあるだけでも最低限楽しめました。
ガンアクションからカーチェイス、スタントシーンまで多種多様なのも強みであったと思います。
もう1つ良かった点がシチュエーションです。
本作では「ワンダーランド」なる架空のテーマパークを舞台にストーリーを展開していました。
明るく人が集まるテーマパーク。そこを隠れ蓑に偽札づくりという悪事が行われているというシチュエーションは良かったと思います。(ビバリーヒルズ感あるかといったら皆無ですが)
さらに良かったのが、そのテーマパークを生かしたアクションシーンがあるということです。
エイリアン襲撃をモチーフにしたアトラクションや乗り物に乗って移動するアトラクションなど、様々なシチュエーションでのアクションを見ることができます。
そのユーモラスな戦闘シーンはコミカル要素の強いこのシリーズだからできること。
幅を効かせたアクションシーンは、間違いなく本作のハイライトであったと思います。


大人気『ビバリーヒルズ・コップ』のシリーズ3作目であった本作。
ただ、その出来はハッキリ言ってイマイチで興業収入も制作費を下回るという結果に終わってしまいました。
シリーズが続いてほしいと思う反面、もうやれることはほとんどやってしまったのだと思わざるを得ない作品でした。