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【ネタバレ・レビュー】100万ドルの決斗 | 西部の魂が消えかけた時代を生きる男ジョン・ウェイン!

西部開拓時代とは主に1860年代から90年代にかけてを表します。
20世紀(1901年~)に入ってからは、自動車が普及し、建物は近代化、カメラを用いた写真や動画の撮影までできるのが普通となってきました。
けれど、そうして近代化されていく時代の中、西部にはまだカウボーイ魂を持った男たちが生きていました。
今回レビューする『100万ドルの決斗』は、そんな魂を持ったガンマンの戦いを描いた作品です。

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ストーリー

テキサスの牧場主ジェイコブ・マッキャンドルズは、家を開けている間、息子ジェフたちに留守を任せていた。
ある日、牧場が悪党から襲撃を受け、ジェフが重症を負い、彼の息子が誘拐されてしまう。
悪党は身代金として100万ドルを要求してきた。
ジェイコブは悪党から孫を取り戻すため、二人の息子ジェームズとマイケルを引き連れて旅へと出る。

感想

西部劇と言えばこの人!ジョン・ウェインが主演であるこの作品。
ウィキペディアで調べてみると、なんと本作が147本目の出演だと言うのですから驚きです。
それだけに、本作でのウェインは年をとっています。(公開当時は63歳)
ストーリー的にも孫がいますし、青年くらいの年の息子たち(息子の1人、ジェームズを演じるのは、ウェインの実の息子パトリック)と一緒に旅をしており、嫌でも彼が年であることを感じさせていました。
しかし、やること為すことは実に若々しいです。
生意気な息子たちを投げ飛ばしたり、酒場でケンカを始めたりと、息子たちも驚くほどパワフルさでした。
もちろんそれは傲慢さ故の行動ではなく、確かな経験や知識があってのこと。
車やバイクといった文明の利器が、西部の悪漢どもに故障させられれば馬を引き連れ悪を追うのですから西部の男らしさを感じられました。

そんな本作は、いきなり悪党ジョン・フェイン率いる悪党一味による襲撃シーンから始まります。
老若男女問わず射殺するその姿は、まさに西部の悪漢。分かりやすいほどの悪党でした。
本作はこうしたキャラづけも秀逸。
インディアンにしてジェイコブの相棒であるサム、父に対して反抗的でありながらも銃の早打ちを得意とする長男ジェームズ、無鉄砲でありながらも遠距離射撃を得意とする次男マイケル、基本敵を倒してくれる犬。
クセが強いものの、任せた仕事はキッチリとこなしてくれる頼れる仲間たちは見ている側としても愛着が沸いてくるようでした。
そんな仲間たちとジェイコブによるフェイン一味との戦いは見ごたえ抜群!
敵も多いため、全員の個性をしっかり生きていて楽しめました。
全体的に、ジョン・ウェインのみの活躍ではなく、登場人物全体に見せ場があったのが好印象でした。
ただ、サムの最期についてノータッチであったのだけは少し残念かなと思いました。
あくまで主演はジョン・ウェインなので、彼の家族周りが無事ならばめでたしめでたしなのでしょう。


西部開拓時代が終わったといっても過言ではない時代を舞台としていた本作。
そうした時代の波に翻弄されながらも西部魂を貫き通すジョン・ウェインの姿は純粋にカッコ良かったです。
いつの時代になっても薄れない、彼の魅力を感じられる作品であったと思います。