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【ネタバレあり・レビュー】エントラップメント | 恋する60代ショーン・コネリー in マレーシア!

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ストーリー

保険会社に勤めるジンは、とある絵画が盗まれた事件が大泥棒マックの仕業だと当たりをつけ彼を追跡する。
マックにたどり着いた彼女は、マックを現行犯逮捕するため、古代中国の秘宝を共に盗むよう提案した。
しかし、彼女には裏の考えがあるのであった。

感想

ショーン・コネリー追悼特番として放送されていたものを鑑賞しました。
率直な感想とすれば「もう少しイケてるショーン・コネリー作品放送してよ……」と思う内容でした。
そもそも、本作は強盗系アクション映画なのですが、コネリーは撮影時、既に60歳オーバーくらいなんですよね。
そのため、アクションなんてほとんどしないオブザーバー的立ち位置にいました。
では、誰が強盗をするのかと言ったら、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ演じるジンです。
美しくてミステリアス。軽やかな身のこなしでセクシーに強盗をする姿はもう一人の主人公と呼べる存在でした。

作中、驚いたのが、そのジンとコネリー演じるマックによるロマンスシーンがあったという事。
ゼタ=ジョーンズは撮影時20代。コネリーとはおよそ40歳近く年が離れているのにいい雰囲気になっているのですから、なんとも複雑な気分にさせられました。
「プロだから恋愛関係にはならんぞ」と言っておきながら結局なっちゃうのもなんだか納得がいかない点。まあ、ゼタ=ジョーンズのセクシーさを見れば考えを改めるのも仕方ないとは言えますけどね。

そんな二人のラブロマンスをのらりくらりと描きつつ、強盗の計画→実行へと展開していくわけなのですが、ここら辺は面白かったです。赤外線を身体の柔軟さでかわしていくというトラップ回避と、すごく便利な特殊装備を使った強盗計画は分かりやすくて良し。
小難しい事を考えずに見れるというエンタメ色は個人的には好感触でした。

そのエンタメ色を華々しく飾るのが、終盤の舞台となるペトロナスツインタワー
1998年にマレーシアのクアラルンプールに出来たこのタワーを1999年の映画で早速舞台としているというにはフットワークの軽さには拍手を送りたくなります。(おそらくほとんどはセットだと思いますが)
建物内外を右往左往しながら逃げ場を探すハラハラドキドキ感はラストに相応しい盛り上がりもあって良かったです。ロケ地選びの大切さを教えられましたよ。

エンタメ性の高い作品でしたが、何気に印象に残っているのは2000年問題をネタに使っていた事です。
ざっくり言うと、コンピュータが「2000」という数字に対応しておらず、「1999」の次が「1900」に戻るのではないかと危惧された話。
作中では、そのメンテナンスのためにシステムが切れる数秒の隙をついて、マックらが銀行口座の預金を盗み取ろうとしていました。
2000年問題」を取り扱っているだけでも今の時代から見れば面白いネタなのですが、これを1999年にやったというのがまた面白いです。
果たして当時、この作品を見た人たちはどう捉えたのか……滑稽と取ったか、あり得る話と取ったか、気になる所です。
なんにしても「2000年問題」を取り扱った作品は少なく、本作はその中では代表格となっています。
作品としての評価は、イマイチではありますが、そうした意味では後年まで語り継がれる作品だと言えるでしょう。