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【コラム】寒い冬を乗りきれ!寒い映画10選+一番寒かった映画!

まだまだ寒い時期が続いていますね。
1月20日(水)は、1年でもっとも寒い時期「大寒でした。
そこで今回は寒さを乗り切るための、寒い映画特集をお送りします。
ただ紹介するだけだと面白くないので、今回は個人的に作品に感じた寒さについても書いていこうと思います。
ややネタバレがあるのでご注意ください。


デイ・アフター・トゥモロー
寒さ度:★★★★☆

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ローランド・エメリッヒ監督が描くディザスタームービーの代表格となる作品です。
地球温暖化が引き金となり、世界各地での天災が頻発。やがては氷河期までやってくるのを知った人々が逃げ惑う様を描いています。(若い頃のジェイク・ギレンホールが出演しているのが個人的な見どころ)
その氷河期をもたらす"スーパーストーム"が、今回紹介した理由です。
この"スーパーストーム"は、触れたら即凍る風みたいなもので、街も人も瞬時に凍り付かせてしまいます。
それが迫りくるシーンは、絶望そのもの。瞬時に凍らせる性質上、おそらく「寒い」と感じることすらないのが唯一の救いではないかと思います。
訪れた現代版氷河期は寒さはもちろんのこと、先の見えない未来に対する絶望も突きつけてきます。
いつ終わるのか分からないという絶望も含め、寒さ度は4つ星ですね。

ウインドリバー
寒さ度:★★★☆☆

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アメリカ・ワイオミング州の先住民保留地ウインド・リバーで起きた事件を追った現代版西部劇とも呼べる作品です。
主演のジェレミー・レナーがとにかくカッコいいのが印象的でした。
さて、そんな本作はほぼ全編に渡って雪原で登場人物たちが活動しています。
見渡す限りの白銀の世界は、あまりにも無機質すぎてゾッとするほど。そこに飛び散る血の赤のコントラストが美しいのが皮肉です。
すべての発端である事件の死因が、寒さにより肺が損傷し、血を吐いて死ぬというなんともえげつないものでした。
寒さがもたらした残酷すぎる死。それはもはや寒いというより痛いのかもしれません。
雪の美しさと寒さによる絶望が強く記憶に残るため、寒さ度は3つ星です。

レヴェナント:蘇えりし者
寒さ度:★★★★☆

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アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督とレオナルド・ディカプリオがタッグを組んだ西部劇に近い作品。
仲間に裏切られ死にかけた男が復讐に駆られ蘇るという、なんとも分かりやすいストーリーです。
そんな本作は見ていて寒いし、痛いし、怖いしの三重苦でした。
そもそも裏切られる理由が、重傷を負ったヒュー(ディカプリオ)を仲間たちが見捨てるというものなのですから、復讐を決意した時点で見ていて痛々しい状態です。
そこから身ぐるみを剥がされたままの姿で雪原へと踏み出していくのですからとにかく寒い!
髭に雪を蓄えながら歩くヒューの姿に痛々しさと寒々しさを感じていると登場するのがなんと熊。これがまたリアルすぎて怖いです。
とはいえ、この熊のおかげでヒューは食料+毛皮のコートを得て復活への大きな一歩を踏み出すのですから逞しいを通り越して恐ろしい人物です。
ディカプリオの熱演もあって、寒さに対する印象は非常に強かったため、寒さ度は4つ星。

ザ・ブリザード
寒さ度:★★☆☆☆

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クリス・パインケイシー・アフレックが活躍する海洋アドベンチャー作品。
座礁事故により沈みつつあるタンカー船から乗組員を救うため、沿岸警備隊隊員たちが荒れ狂う海の中を救助に向かうという実話ベースのストーリー。
パイン演じる沿岸警備隊隊員バーニーとアフレック演じる乗組員の視点を交互に描いているのが作品の特徴です。
で、主に寒いのは沿岸警備隊側の視点。
海水を頭から浴びながら雪の吹きすさぶ海を小型船で乗り越えようとする彼らの姿はかなり寒そう。
しかし、当の本人らは忙しなく働いているからかそこまで寒そうにはしていないんですよね。
装備も救助にいく身であるため、十分に着込んでいますし、寒さ度としてはあまり高くなく2つ星です。

ヘイトフル・エイト
寒さ度:★★★☆☆

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クエンティン・タランティーノ監督作第8弾となる作品。
サミュエル・L・ジャクソンカート・ラッセルら名優が集結し、西武開拓時代のとある小屋での血あり、笑いありの心理戦を繰り広げます。
そんな本作は、雪山で吹雪を凌ぐために賞金首たちが小屋に集まるというストーリーであることから、小屋へ来る人間はみんな凍えながらやって来ます。
その寒がりっぷりがとにかくリアル。
毛皮の上着を十分に着込んでいてもガタガタ震えている姿はこちらまで寒さが伝わってくるかのようでした。
それだけに彼らが焚き火で暖をとったり、コーヒーやシチューで暖まる様子はかなり印象的。
寒さを感じると同時に暖まる喜びも感じられたため、寒さ度は3つ星です。

クリフハンガー
寒さ度:★☆☆☆☆

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シルヴェスタ・スタローン主演の雪山を舞台としたアクション映画。
ロッキー山脈を舞台に、現金1億ドルを狙う犯罪者と山岳救助隊のゲイブ(スタローン)の攻防を描いています。
装備を奪われたスタローンが雪の積もったロッキー山脈を歩くので当然寒そう……かと思いきや、まったく寒さなんて感じさせません。
持ち前の肉体を披露しながら悪党をバッタバッタと倒していく様はむしろ熱いくらい。
ある事件がきっかけで仲たがいをしていた相棒ハルと再び協力する友情も熱い!
寒さなんて吹き飛ばしたい時に見るに限る作品。寒さ度は1つ星です。

生きてこそ
寒さ度:★★★★☆

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1972年10月に起きた、アンデス山脈に墜落した飛行機に搭乗していた大学生ラグビーチームとその家族・知人らのサバイバルの模様を描くドラマ映画。
イーサン・ホーク主演の実話であることからも話題を呼びました。
事故により負った傷がやがて命を奪っていく恐怖空腹により仲間同士争うようになっていく痛々しさは、目を背けたくなる現実を突きつけています。
もちろん、寒さによって体力を削られていくのも恐ろしさのひとつ。
幸い荷物や飛行機の胴体が残されていることから寒さをしのぐ最低限のものはありますが、それでも寒さがもたらす極限状態は常に感じられます。
空腹による苦しみと寒さの二重苦ということもあって寒さ度は4つ星です。

遊星からの物体X
★★☆☆☆

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巨匠ジョン・カーペンター監督によるSF映画
南極基地の中に紛れ込んだ人間に擬態する怪物との戦いを描いています。
南極という場所だけでいえば最も寒い地域なのですが、基本的に怪物と対峙するのは基地内部ということもあってそこまで寒さは感じられません。
また、火炎放射器を使って怪物を焼き殺そうとしたり、爆発が起きたりと、物理的に熱いシーンもあります。
寒そうな環境ではあるものの、どちらかというと怪物の恐ろしさ人間同士の疑心暗鬼の方が印象に残っているため、寒さ度としては2つ星です。

シャイニング
寒さ度:★★★☆☆

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監督スタンリー・キューブリック、原作スティーブン・キングによる名作ホラー映画です。
雪山のロッジを舞台に、だんだんと狂っていく父親の姿をジャック・ニコルソンが熱演しています。
雪山のロッジが舞台ということで、外は危険なくらい寒いですが、中はボイラーを使った暖房効果もあってそこまで寒くはなさそう……というかむしろ暖かそうです。
寒そうなのは終盤から。ニコルソン演じるジャックが息子ダニーを追跡して外に出てしまうんですね。
名シーンである迷路での追いかけっこは迷路が雪化粧をしている+ジャックの恐ろしさもあってゾクゾクと寒気が走るシーンに。そしてラストはジャックが凍った顔がどーんと大写しされる、狂気と寒さをいっぺんに味あわせるシーンとなっています。
「恐怖」という名の寒気もあって寒さ度は3つ星です。

エベレスト3D
寒さ度:★★★★★

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1996年に実際に起きたエベレストでの大量遭難事故を映画化した作品です。
この事故をテーマにしたのは『エベレスト 死の彷徨』(1997)以来2度目だとか。
そんな本作は、前半こそ山の雄大さや登頂の喜びを描いていますが、後半からはただただ過酷。
寒さによって体力を失った登山家たちが次々に倒れていく恐ろしさは目を背けたくなるほどです。
本作は、ジェイソン・クラークジョシュ・ブローリンジェイク・ギレンホールら主役級の豪華俳優陣が集っていますが、容赦なく命を落としたりもします。
「メインキャストだから助かる」という安心感すら持てない環境はまさに極寒地獄。
文句なしの寒さ度5つ星です。



寒さはどこからやってくるのか?

ここまで、寒さに関する映画を10個紹介してきました。
そこで考えたいのが「鑑賞している側が寒さを感じるのはどういった時か」ということ。
個人的な意見ですがそれは、俳優の演技力と寒そうな見た目だと思います。
彼らがガタガタブルブル震えていれば当然のことながら見ている私たちも「うわ、寒そう」となりますからね。
さらに、髪や髭、服などに雪が付着していたりするとより寒さが感じられるように思います。
風の冷たさなんかは劇場では認識しづらいため「雪」という視覚的な寒さがあるというのはかなり効果的だと言えるでしょう。(紹介した10作にも全て雪が使われていますし)

結論として、鑑賞している時に寒さを感じるのは、俳優が雪を大量に被りガタガタと震えている姿を見た時だと思います。(なんだか当たり前のことですが)
登場人物へ感情移入をしていれば、よりその境遇を身近に感じて寒さを感じられます。
そうすると、序盤のパートでいかに登場人物へ対して共感できるかがカギとなると言えるでしょう。
寒さや暑さを感じる=作品の質が高いという指標につながるのかもしれませんね。



個人的に一番寒い思いをした映画

ここまでは見ていて寒い思いをする映画を挙げていきましたが、ここでは映画を見に行って個人的に一番寒い思いをした経験を紹介します。
それが上にも挙げた映画『ザ・ブリザードです。
「上では星2つなのになぜ?」と思われる方もいるかもしれませんが、この作品当時は4DXで公開されていました。
4DXといえば、揺れに加えて水や風など、観客が体感できる演出が売り。
そのため、本作で主人公たちが海へと進出すると、揺れ+風+水が次々に襲い掛かってくるんですね。
水を被った後の風というのは寒さをより強く感じさせるため、かなり寒かったです。
さらに、公開日は2月27日というまだ肌寒い時期。
上着を4DX専用のロッカーに置いてきていた私はまさに極寒を味わうこととなりました。
ある意味リアルな体験をしたと言えるのですが、寒いと集中できないのは必然。
思い出として残っているのは「とにかく寒い」というものでした。
寒さを4DXで演出するというのは面白い取り組みであったと思いますが、色々と課題を抱えていると思いますね。

まとめ

ここまで寒い映画10作を紹介してきました。
書いてみて思いましたが、寒さをテーマにしたサバイバル作品というのは意外と多く、候補作はまだまだありました。(見れてない作品も含め)
まだ見れていない作品で一番興味があるのは、リーアム・ニーソン主演作THE GREY 凍える太陽です。(リーアムは最近だと『スノー・ロワイヤル』に主演をしていましたし、なにかと雪に縁があるようなイメージがついています)
冬の寒さに耐えながら臨場感を楽しむもよし、暖かい部屋で「寒そうだなぁ」としみじみ思うもよしな寒い映画。
冬だからこそ、寒い映画を見て寒さを乗り越えましょう。