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【ネタバレあり・レビュー】ゾンビガール | ホラー映画の巨匠ジョー・ダンテが贈るホラー愛がこもった作品!

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ストーリー

ホラー映画好きのマックスは、ホラーショップでアルバイトをする冴えない男であった。
そんな彼の心の支えは恋人であるイヴリンであったが、彼女はエコに対して過剰な意識を向けていた。
だんだんとエスカレートする彼女の要求に、耐えられなくなったマックスは別れることを決意。しかし、彼女はバスに轢かれて命を落としてしまう。
だが、願いを叶える悪魔の人形に二人の永遠を願っていたことから、イヴリンはゾンビとして蘇るのであった。

感想

ハウリング』や『グレムリン』シリーズの監督としてお馴染みのジョー・ダンテによる現状最新作ということで興味を持った作品。
感想としてはまあまあ楽しめたくらいなものでした。
それもそのハズで、本作はホラー映画ではなくロマンス60%、コメディ40%ぐらいの割合の作品であるため、それまでのジョー・ダンテの作風に期待していると少し肩透かしを食らってしまうんですよね。

とはいえ、往年のホラー時代を支えた監督だけあって、安定した面白さはあったと思います。
ゾンビとなって帰ってきたイヴリンを再び殺すべく、マックスがあの手この手を使うものの失敗に終わり、むしろメンヘラ気質なイヴリンに恐ろしい目に合わされるという軽快な内容はキャラの個性もあって楽しめました。また、1980、90年代ホラーのお約束であったゲロ浴び、CGを使わないグロ要素なども盛り込んでおり、昔のホラー映画を彷彿とさせるシーンが多かったです。

で、こうした昔ながらのホラーに対する愛が随所で見られるのが本作の良さでした。
例えば、マックスの働くホラーショップでは往年の白黒ホラーを常時再生していましたし、彼がオリヴィアと再会する映画館で上映されていたのは、ヴァル・リュートンがプロデュースした名作『キャット・ピープル』と『私はゾンビと歩いた!』の二本立てでした。(ヴァル・リュートンがホラー映画に与えた功績もしれっとセリフに加えるというリスペクトも)
また、トラヴィスがイヴリンに襲われるシーンでも、スプラッターの先駆者でもあるハーシェル・ゴードン・ルイス監督の『ゴア・ゴア・ガールズ』が再生されているという状況でした。(ここでも「脳みそが本物」というまことしやかに囁かれる小ネタを入れてきます)
このように、とにかくスプラッターホラーに対するジョー・ダンテ監督のリスペクトと愛が満載となっていました。
その力の入れようは、彼が生き生きと作品を作っているのが伝わってきて、なんだかこちらまで嬉しくなるようでした。

さて、もう一つ見どころであったのが俳優陣です。
主人公マックスを演じたのはアントン・イェルチン。『スター・トレック』シリーズなどに出演し、大きな活躍を見せていた頃に、ゲロまみれになったりヘタレな冴えない男を演じていたかと思うと感慨深い……
イヴリン役のアシュリー・グリーンは最近だと2019年の『スキャンダル』に出演、オリヴィア役のアレクサンドラ・ダダリオは、2019年の『エマの秘密に恋したら』で主演&製作総指揮を務めています。
本作から……というわけではありませんが、順調にキャリアを積んでいるのを見ると、B級ホラー(?)に出演していたのがレアに思えてきますね。

ちなみに、知っている方も多いかと思いますが、アントン・イェルチンは2016年に27歳の若さでこの世を去っています。
それを踏まえて本作を見ると、イェルチンが人間として生きようと奔走している姿は少し切ない気持ちにさせられました。
幅広いジャンルで活躍していた俳優でもありますし、ゾンビとしてでもカムバックして欲しい俳優の一人ですね。


ジョー・ダンテ監督によるホラー要素はほとんどない、ラブコメ染みた内容であった本作。
ストーリーとしては、そこそこ楽しめたレベルの面白さでしたが、随所で見られる監督のスプラッターホラー愛は見ている自分にも伝わってくる面白いものでした。
時代は変わっても、変わらない情熱を持ち続けているのが見られただけでも見た価値のある作品でした。