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【ネタバレあり・レビュー】感染源 BIOHAZARD | 感染しない生物兵器の脅威!

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ストーリー

2004年7月6日。アラスカの山奥にある生物研究所で事件が起こる。
陸軍に所属するトレイナーは仲間と共に、その研究所で生き残った職員を救助する極秘任務を言い渡された。
しかし、その任務に随行する研究員のラングは何かを隠していた。
研究所へと潜入したトレイナーたち6人は、そこである生物に襲われる。

感想

DVDを買ったものの、長年ほったらかしにしていたこの作品。
時代も時代だけに、タイトルに惹かれて見たわけなのですが、なんだか思っていた内容と違いました。
たしかに、有害生物が暴れるため「biohazard」要素は満たしているのですが、肝心の「感染源」要素がなかったです。
で、よくよく見たら原題は『Deep Evil』(直訳:深い悪)
なるほど、見事に配給会社の戦略に騙されましたね。

で、中身はどうであったかというと、これまた絶妙に面白くない。
逃げ出した有害生物と研究所に潜入した6人(男4、女2)が、1人ずつ敵にやられていくという、それこそ映画版『バイオハザード』をなぞったような内容なのですが、イマイチ盛り上がる所がありません。
死因にしたって、手に付着した有害生物の出した水に触れて死んだり、いつの間にか肩に乗っていたクモに噛まれて死んでしまったりとなんだか地味。
クモの大群相手に銃を乱射したり、ガス弾で応戦したりと、一応アクションシーンもあるにはあるのですが、面白いかと言ったら派手さもないしうーん……
むしろ、対有害生物用の毒ガスをうっかり床に落として死んでしまったり、「爆弾は俺が手動で起動する」とカッコイイこと言っておきながら失敗して犬死にしてしまったりといったマヌケなシーンを売りにしたネタ映画としての方が面白さがあったのかもしれません。

では、どこに魅力があったかというとモンスターの設定にあったと思います。
何故かやたらとクモやトカゲもどきの外観で登場するのはさておいて、モンスターの特徴は良かったです。
毒の水を生成しその中から出現、人間を含め様々な生物に擬態するという能力を持っていました。
なんだか擬態能力は『遊星からの物体X』のモンスターを、水からの出現はCGIの技術含め『ターミネーター2』のT-1000(液体金属のやつ)を彷彿とさせました。
とはいえ、滴り落ちる水滴にクローズアップをしてモンスターの近づく描写を表現したり、本作ならではの見せ方をしていたのも事実。
別にまるっと真似しているわけでもありませんし、本作オリジナルな要素と言ってもいいのでしょう。

もう一つモンスター関連で面白かったのが、モンスターが作られるまでの話。
それは、宇宙から飛来した隕石に付着していた微生物を政府が軍事利用のために改造、やがて知能を持ち人間を襲い始めるというものでした。
結局、モンスターを作ったのは人間だったわけなんですね。
安易に「隕石に付着していたモンスター」とせず、あくまで人間の私利私欲が生み出したモンスターであったというのが個人的には好感が持てました。
ラストシーンでもその人間の汚さが世界を滅亡に導くことを示唆していましたし、モンスターの設定絡みではちゃんとしたサスペンスをしていたように思えました。

これらの要素があまり生きなかった理由として考えられるのがテンポの悪さ。
本編時間が90分しかないにも関わらず、30分くらいは「研究所で何かしらの生物が人を襲った」ということしか分かりません。
面白いと思えるモンスターの設定が出てくる頃には作品に対する興味も薄れてしまうんですね。
ストーリーや見せ方次第では『エイリアン』レベルに面白い作品にもなれそうな気がしただけに、イマイチな作品になってしまったのは少し残念に思えました。


2004年のB級モンスターパニック映画であった本作。
画角が4:3のアナログ仕様や(正方形に近い画角)、中途半端なCGなど、懐かしくなる要素が見られたのは今だからこそ楽しめる要素であったと思います。
タイトルに釣られて見た作品でしたが、一応楽しみようはある作品でした。