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【ネタバレあり・レビュー】RBG 最強の85才 | アメリカで平等に生きるために戦った正義の味方!

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ストーリー

アメリカ史上2人目の女性最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグ
彼女は85歳にしてなお最高裁判事として働き続けていた。
その彼女が、いかなる信念の下に仕事に取り組んでおり、いかに国を変えたのか、彼女の半生を通して描く。

感想

公開当時の2019年にも劇場で鑑賞していたのですが、2020年9月にルースが亡くなったこともあり、今回再度鑑賞してみることに。
2度見た感想ですが、やはり面白かったです。
今見てみると、バイデン大統領の上院議員時代が映っていたり、当時(撮影時はおそらく2017年くらい)のアメリカの政権の様子が感じられたりと、新たな発見があるのがあったのも嬉しい気づきでした。

そんな本作は大きく分けると3つのテーマからルースの半生を紐解いていました。
まず1つ目が差別撤廃に対する運動です。
彼女は女性差別が横行していた1970年代に弁護士として活躍することで、女性の地位向上に大きな影響を与えました。
その活躍ぶりを彼女が取り扱った判例を挙げつつ紹介していくテンポの良さは、分かりやすく受け入れやすいものであったと思います。
中でも興味を惹いたのが、妻を亡くした男性の育児手当が払われないことに対してルースが弁護をした事例です。
男性が正当な権利を受けないことに対する弁護をしたこの事例は、ルースが「優遇」ではなく「平等」を目指していることを理解させるには十分すぎるくらいの説得力を与えていました。
確固たる信念の下、女性の平等な扱いを目指すルースの弁護内容は、実際の音声を使っていることもあり、非常に重く伝わってくるかのようでした。

2つ目のテーマがルースの夫マーティンの存在です。
本作では彼の貢献についても、インタビューや実際の映像などを通してかなり濃く描いていました。
そこから見て取れるのが、彼のユーモラスな性格です。
社交的で明るく、人を笑わせる彼の性格は、、たった数分間の映像を見るだけでも親近感を持てるかのようでした。
もうひとつ感じ取れたのが、妻ルースへの愛。
ユーモアを口にする際にも、聞いた人がルースに対して好感を持てるような内容の話をしており、密かに妻を支えていることが感じられます。
なにより50年以上もの間、働き続けるルースを家事などで支えてきたというのですからその愛が本物と言うしかありません。
ルースが全力で仕事に取り組めているのはマーティンがいたからこそであることを忘れさせないエピソードを挟んでいたのは心温まるものでした。

3つ目のテーマがルースの最高裁判事の活躍について。
ここからも彼女の「平等」に対する姿勢が見られました。
まず興味深かったのが、最高裁判事がリベラル派と保守派で分かれているということ。
ルースはここでリベラル派に属する訳なのですが、バランスを取るために、できるだけ中立に近いリベラル派の立ち位置にいたんですね。
そんなルースは、最高裁として市民から多大な人気を誇っていました。
その理由のひとつが、最高裁の判決に対する反対意見でした。
もちろん、それはイチャモンをつけているわけではなく本当に不服だと思っての行動です。
しかし、数少ない女性判事でそのように声を挙げる姿は、市民にとって正義の味方のような存在でした。
その人気っぷりをかいつまんで紹介していましたが、本当に愛されているんだとつくづく思いました。
親しみ易さもまた、彼女の魅力であったのかもしれませんね。

反対意見を提示するのに、ルースが堂々とした立ち振舞いができたのは確固たる信念と知識があったからこそ。
周りの人たちから見てもその努力が感じられるコメントがあったのも彼女の凄さが伝わってくるようでした。


ルース・ベイダー・ギンズバーグの半生を彼女自身と周りの人々たちの声を通して描いていた本作。
冒頭にも書いたように、彼女は惜しくも亡くなってしまいました。
しかし、彼女の凄さは本作を通してより多くの人に知られていくのでしょう。