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【ネタバレあり・レビュー】スキンウォーカー | カナダ発の異色ホラー映画!

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ストーリー

人の命と記憶を乗っ取る力を持つある"生き物" 彼は人間社会に紛れては他人の体を乗っ取り、長い年月を生き抜いてきていた。 しかし、近頃は新たな体に乗り換えてもその体は数日で腐るようになっていた。 そんなある日、彼はバーで出会った一人の女性に恋をする。 彼は、腐る体を入れ替えつつ、違う体で何度も彼女に声をかけ続ける。

感想

正直な所、あまり期待をせずに見た作品です。 で、全体的な感想としてはその低いハードルとどっこいどっこい。それなりな面白さでした。 その中で一番興味を惹いたのが、一番の売りでもあるスキンウォーカーの設定。 そもそも「スキンウォーカー」は、作中でも若干触れていましたが、ネイティブアメリカンの伝承に登場する動物もどきことらしいです。 その動物もどきが持っている能力が、主人公の持っているものと同じなのだとか。 その具体的な能力は、他人の体に触れることで他人の体を奪い取ることができるというもの。 しかし、それと同時に乗っ取った相手を殺してしまうんですね。 本作オリジナルの設定であったのが、そうした"乗っ取り"をやり過ぎてしまったことにより、主人公の入った体はすぐに腐り出してしまうようになっていた事です。 そのため、次から次に獲物を見つけては証拠が残らないように乗っ取りをするという展開はなかなか面白かったと思います。(この性質上、主演の俳優がいないというのがなんとも低予算作品らしいです)

さて、そんなオカルトSFマニアなら生唾ものの設定なわけですが、メインストーリーはなんとロマンス。 バーで出会ったある女性に恋をした主人公が、上記の理由から体をとっかえひっかえして逢うしかなく、毎回初対面になってしまうというのをじっくりと描いていました。 ぶっちゃけロマンス要素はそこまで面白味はありませんでしたね。お互いのことを話しているだけでロマンチックさもあまり感じられませんでしたし。 ただ、最終的に能力のせいでその恋をした女性の体を乗っ取ってしまうという展開は、皮肉で面白かったと思います。 あそこに辿り着くまでの前置きと考えれば途中のロマンス要素も無駄ではなかったという事なのでしょう。

衝撃的……というか謎だったのがラストシーン。 体が腐り死ぬのかと思いきや、脱皮して新たな体で生まれ変わってしまいます。 「一体どういうこっちゃ?」と思いましたが、それがどうやら作品のオチらしいです。 主人公はそもそも人間であったと自称していましたが、どうやらそれすらも誰かの体を乗っ取って得た記憶なよう。 たしかに衝撃的ではありますが、それでスッキリするかといったら……微妙。風呂敷広げて終わったようなもんですからね。

とはいえ、84分と短い時間であること、冒頭から最後まで変身能力の設定を惜しみなく使っていることなどもあって個人的には楽しむことができました。(ほどよいグロもありましたし)


謳い文句の「異色ホラー」が気になったことから今回鑑賞をした本作。 能力を持った"生き物"の独白であったり、一筋縄ではいかないラストであったりと、その独特な雰囲気はまさに異色ホラーでした。 制作国はカナダと、ホラーに馴染みのないイメージのある国ですが、面白い作品を作るなと思いました。