【ネタバレあり・レビュー】星空の用心棒 |
ストーリー
無実の罪で30年の刑期を言い渡されたテッド・バーネットは復讐のために脱獄を果たす。その事を知った保安官ダグラスは、警戒を強める。
それを退けたバーネットはダグラスの他にコッブが復讐の対象であることを知り追い始める。
感想
ジュリアーノ・ジェンマが主演のこの作品。内容は良かったですが、特にジェンマ演じるバーネットは用心棒でもなければ星空の下で戦うわけでもない、間違いだらけのタイトルでした。
まあ、西部劇界隈では続きでもなのに「続」をつけたり、夜に戦闘が開始されるのに「真昼の」とつけていたりと、「人気作を連想させれば勝ち」みたいな風潮がありますから問題ないのでしょう。
ちなみに、原題は『I lunghi giorni della vendetta』
意味としては「復讐の長い日々」となります。
本編中は、2,3日しか経っておらずパッと見「長い日々?」と思いましたが、設定を考えると、無実の罪で3年間投獄されていたのですから十分に長い日々だったと言えるのでしょう。
さて、そんな本作の見所は、やはりジュリアーノ・ジェンマの活躍でしょう。
爽やかで大胆不敵。アクションを軽快にこなしてしまう姿は、いつの時代でもカッコいい男として映ります。
しかし、そのジェンマ演じるバーネットは囚人であったこともあり、初登場時には髭も髪も延び放題のボロボロな状態でした。
その身なりを整えるのに、あえて仇敵に髪を切らせ、髭を剃らせるのですから度胸が据わっています。
冒頭のこの大胆さだけでもバーネットというキャラクターに惹かれますし、その直後に爽やかなイケメンが出てくればもう目が離せません。
改めてジェンマの魅力の吸着力のすごさを思い知らされました。
そんなバーネットの魅力は至るところで見ることが出来ます。
中でも印象的なのが、仕掛け糸で銃を撃ったり、馬の体を死角にして敵の懐へ潜り込むといったユーモラスな戦い方。
単純なアクションだけでなくこうした頭を使った戦いも見せてくれたため「次は一体どうやって窮地を切り抜けるんだ?」と、ワクワクさせられました。
一方で、敵も一筋縄ではいきません。
そもそも保安官ダグラス、ポルフィリオ将軍、黒幕コッブと、三人もいますからね。
さらに三人とも部下を多く抱えており、悪知恵も働くため、バーネットの策が通用しないこともありました。
最後の戦いが終わる頃には撃たれまくって重傷でしたし、ハラハラドキドキさせられる展開が多かったですね。
とはいえ、仲間たちのサポートにより窮地を切り抜けるシーンなんかもあって、王道的なマカロニ・ウエスタンの面白さがあったと思います。
ジュリアーノ・ジェンマが魅力的であった本作。
それは彼自身の魅力だけでなく、作品のユーモアがピタリとはまっていたからだと言えるでしょう。
ますますジュリアーノ・ジェンマを好きになれる作品でした。