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【コラム】クリストファー・プラマーという俳優の凄さと思い出!

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2021年2月5日で一人の俳優の訃報が流れました。
それはクリストファー・プラマーが亡くなったというもの。
大御所の俳優であっただけにショックを受けた方は多いのではないかと思います。
今回は、そんなクリストファー・プラマーがいかに凄い人物であったのかのまとめと、個人的な思い出について書いていきます。

クリストファー・プラマーの凄さ

出演作品

まず彼の凄いのが出演作品の数です。
彼は全体で215作品に出演(映画119作品、テレビ79作品、舞台17作品)しました。
1953年にブロードウェイでデビュー、1958年に映画デビューを果たします。(デビュー作は、ヘンリー・フォンダ主演の『女優志願』)
しかし、彼は1929年生まれなので、53年時には24歳、58年時には29歳と、決して早熟であったわけではありませんでした。

そんな彼の転機となるのが1965年の『サウンド・オブ・ミュージック』です。(撮影時は64年で35歳)
ここで一躍有名になった彼は様々な作品に出演。
『サンセット物語』(1965)や『王になろうとした男』(1975)、『サイレント・パートナー』(1978)、『ある日どこかで』(1980)などで活躍しました。
また、他にも1979年には『名探偵ホームズ・黒馬車の影』でシャーロック・ホームズ役を、1991年の『スタートレックVI 未知の世界』ではチャン将軍役を演じるなど、キャラクター性のあるキャッチーな役もこなしていました。
デビューから現在に至るまで、ほぼ毎年テレビシリーズ、あるいは映画に何かしら出演してきたというのは彼の役者魂を感じさせますね。

そんな彼の役どころとして多いのが、主人公ではなく、主人公と強い関わりを持つ助演でした。
それは『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐役からも顕れていますね。
また、ナレーターやアニメーション映画の声優としての活躍も多く、中でも2009年のピクサー映画『カールじいさんの空飛ぶ家』は、記憶に残っている方も多いのではないかと思います。

そうした数多くの作品に出演してきたクリストファー・プラマー
続いては、彼の俳優としての功績を見ていきます。

受賞経歴

ここで見ていきたいのが、クリストファー・プラマーが俳優として得た賞についてです。
ひとつの指標とも言えるアカデミー賞
この賞にプラマーは助演男優賞として3度ノミネートされています。

1度目が2009年の『終着駅 トルストイ最後の旅』(授賞式は2010年)
2度目が2010年の『人生はビギナーズ』(授賞式は2012年)
3度目が2017年の『ゲティ家の身代金』(授賞式は2018年)

この内、『人生はビギナーズ』で助演男優賞を獲得しました。
この時、彼は82歳。当時、アカデミー賞最高齢の受賞者として多くの人々を沸かせました。(現在はジェームズ・アイヴォリーの89歳が最高齢)
また、『ゲティ家の身代金』でのノミネートは、助演男優賞の中では最高齢ノミネート、さらに9日間での撮影による最短ノミネート記録も更新しました。(ケビン・スペイシーの代役としてキャスティングされたため)


こうした、アカデミー賞だけ見ても多くの逸話を残しているプラマー。
しかし、彼の凄さは他の賞を見るとさらに分かることに。

ブロードウェイの最高の賞「トニー賞」を2度受賞(1974年の『Cyrano』、1997年の『Barrymore』)
テレビドラマの最高の賞「エミー賞」を2度受賞(1977年の『The Big Event』、1994年の『マドレーヌ』)
アカデミー賞の前哨戦でもある「ゴールデングローブ賞」を1度受賞(『人生はビギナーズ』)

アカデミー賞トニー賞エミー賞の演技三冠を獲得したのは、史上19人目。
カナダ人俳優としては初の偉業を果たしました。
もちろん、他の賞も数多く獲得しており、彼の俳優としてのレベルの高さを表していると言えるでしょう。

クリストファー・プラマーの思い出

ここからは個人的なクリストファー・プラマーに対する思い出を書き連ねていきます。
そもそも、私が彼の存在を知ったのは割と最近。
2016年の『手紙は憶えいる』でした。
それ以前にも『サウンド・オブ・ミュージック』や『王になろうとした男』、『12モンキーズ』などで見ていたハズなのですが、特に気に止めていませんでした。
しかし『手紙は~』を見た私は衝撃を受けました。
「ここまで演技力の高い俳優がいるのか!」と。
そこで調べてみたら今までにも見ていたことに気づき『サウンド・オブ・ミュージック』を見直したんですね。
そこからはもう虜に。
2019年に「午前十時の映画祭10-FINAL」にて再び鑑賞する機会がありましたが、もうトラップ大佐中心に見ていました。

そんなワケですっかりクリストファー・プラマーのファンになった私はその後、17年の『偽りの忠誠 ナチスが愛した女』、18年の『Merry Christmas! 〜ロンドンに奇跡を起こした男〜』、『ゲティ家の身代金』、20年の『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』を劇場で鑑賞。他にも過去作を幾つか見ました。
直近で見たのは『ある日どこかで
役どころとしては、主人公の恋路を邪魔する男。
しかし、ヒロインの将来を案じ、恋心以上の熱意を見せる姿はどこか憎むことが出来ません。
そこまで出番が多いわけでもないのですが、記憶に残る人間らしさを感じさせていたと思います。

このように、彼が演じる役どころは皮肉屋であったり偏屈であったりと、どこかひと癖あることが多いです。
しかし、大抵その場合は裏にどこか憎めない点があります。
その、一見面倒くさそうな男が持つ人間味を引き出すのがプラマーは非常に巧かったんですね。
どんな役であっても個性を引き出す、それは彼の表現力があるからこそできることではないかと思います。

今年の3月には、主演ではないものの彼の遺作となる『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』が公開予定。(こちらはピーター・フォンダの遺作ともなっています)
公開館が少ないため、地方では見れるか分かりませんが、ディスクリリース後になっても必ず見たい一作です。