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【ネタバレあり・レビュー】ハイジャック・ゲーム

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ストーリー

FBI捜査官であるグレッチェンは、犯人の命を救うため命令違反をしたことからワシントンでのデスクワーク勤務に左遷させられることとなった。
その移動のため乗った飛行機で彼女は、テリーという男と隣の席になる。
彼はグレッチェンがFBIだと知ると、飛行機がハイジャックされるため自分を守ってほしいと告げる。

感想

あらすじからも分かるように、FBI捜査官が乗っていた飛行機がたまたまハイジャックされるという、昔ながらのアクション映画を彷彿とさせる作品。
正直言って、イマイチな作品だったと思います。
下品だとか、おふざけがすぎるとか、そういうネタ的な要素もなくて、ただただ盛り上がらなかった感。
というわけで今回は何がイマイチという感想に至ったのかを作品を振り返りつつレビューしていこうと思います。

ハイジャックが始まるまでの道のり

冒頭、主人公グレッチェンの交渉人としての仕事から始まるこの作品。
そんな導入があったものですから、タイトルと合わせてグレッチェンがハイジャック犯と交渉しながら事件解決に向かうものだと思っていました。
しかし、実際には交渉人要素はこの冒頭だけ。
ストーリーが進むにつれ「冒頭やる必要あったのか?」という疑問が膨らみ、最後までその意味は分かりませんでした。

このように、本作はハイジャックが始まるまでの無駄なパートが多いです。
「それを言ってしまえばビックタイトルでもそうだろ!」という意見もあるかもしれませんが、この作品は一味違います。
単純に導入がつまらない……
本来、導入部で主人公のキャラクターであったり、ハイジャック犯たちが行動を起こそうとする緊迫感であったりが見られるものなのですが、本作はそこを失敗していたと思います。
印象に残ったとすれば、グレッチェンが飛行機で自分の席を奪われたことに激怒したり、仕事の愚痴を言ったりするシーンくらい。マイナスイメージが強いです。
もうひとつ記憶に残ってるのは客室乗務員が飛行機の中で踊っているシーン。
数少ない個性的なキャラクターであったのにあえなく即死させられる可哀想なヤツでした。

そんな導入を経てハイジャックにつながるわけなのですが、すっごい地味に始まります。
乗客たちが「おいおいなんか様子がおかしくないか?」→「これハイジャックじゃない?」→「ハイジャックだ」と察するという、なあなあな感じ。
そんなだからなかなか座らない乗客に邪魔をされたりと、グダグダなことをしているハイジャック犯にマヌケさを感じたりしました。
邦題とはいえ『ハイジャック・ゲーム』なんていう緊張感のないタイトルを付けられたのも納得な気がします。

ドルフ・ラングレンの扱いがひどい!

そもそもこの作品を見たのは、ドルフ・ラングレンが出演しているというのを聞いたからでした。
彼がハイジャック犯側(悪役)なのは珍しいことでもないのでよしとしましょう、敵側の女ボスにお熱というのも目を瞑りましょう。
なんでドルフ・ラングレンを呼んでおきながらアクションシーンがほとんどないのか!
あんなガタイのいい男を連れてきておいてまさかのパイロット係とか何がしたいのか分かりません。
しかも唯一あるアクションシーンでは主人公のグレッチェンではなく、コソ泥のテリーにノックアウトさせられるというガッカリさ。
活躍シーンであるハズの飛行機を操るシーンはなんだかラングレン自身の演技もたどたどしく見えて、ホントなんで出演したのか分からない状況でした。
登場シーンがピークで後はどんどん株を落としていく姿は、彼の出演作の中でもワーストだったのではないかと思います。

ハイジャックの動機が酷すぎる

作中、最も衝撃を受けたのがハイジャックの動機でした。
ダイヤを盗んだテリーが仲間を裏切って独り占めしたので、それを奪い返すためにハイジャックをしたというんですね。あまりにも大胆過ぎます。
「死を偽装するため」ともっともらしい理由もありましたが、それで乗員乗客全員殺そうとしているのですからシリアルキラーも真っ青なイカレっぷりですよ。
それに賛同している奴が多数いるのもおかしな話ですが……
なんにしても気軽すぎる動機でした。

ツッコミどころが多すぎる

この作品、真面目に作っているのですが、やたらツッコミどころが多いです。
例えば、乗員乗客を逃がすのに走行中の飛行機から飛び降りさせたり、山焼きをして滑走路を造っていたり、ドアを開けたまんまで飛行機を飛ばしたりと、シリアスなのにどこかツッコミを入れずにはいられない展開が多いです。
面白いアクション映画とかだと熱中しているからか、そうした常識的におかしいことでも気にならないのですが、この作品は退屈していたからそうした粗を探してしまっていたのかもしれません。
ラストシーンでは、半袖でアルプス山脈のような雪山に不時着なのにハッピーエンド感出していますし、初めから終わりまでツッコミどころ満載であったと思います。