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【レビュー】囚われた国家

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地球に宇宙人が攻めてくる侵略モノ……に見せかけた宇宙人が地球を侵略済みの世界観を舞台にした本作。

冒頭の数分間だけは侵略モノであるため、掴みだけでいうのなら高評価でした。

しかし、実際はその数分間とプラスαの時間しか宇宙人は登場しません。大半の時間は侵略済みの世界で人間同士がいがみあっている時間を送ることとなります。

このいがみあいの時間が悪いということはありませんでした。

むしろ、宇宙人に統治されている世界観で、反旗を翻す者と停戦状態を望む者との対立は、今現在の現実の社会にもつながるようなドラマを孕んでおり、見応えがあったと言えます。

けれど、本作を見るような人間はおそらく私を含め、宇宙人との交戦を望んでいるような層ばかりでしょう。

作中で言う「マッチを擦る」までではなく、その後を見たかったわけです。

けれど、結局のところは宇宙人への戦線布告を行うまでの人間vs人間しか描かれておらずガッカリでした。

 

これだけ聞くと、SF要素が皆無のように聞こえるかもしれませんが、実際そうではありませんでした。

例えば、湖には犯罪者を宇宙へ飛び立たせる宇宙船(隕石型)がありますし、湖中には侵入、脱走防止の馬鹿でかい兵器が置かれています。

アメリカの街の至る所は廃墟と化していますし、街中には地下に潜む宇宙人のための閉鎖空間の入り口が作られてなんかもいます。

こうして列挙すると分かっていただけるかと思いますが、本作はたいして触れられていないだけで近未来の世界観はかなり作りこまれていました。

ラストシーンを見ても、これから反撃が始まる盛り上がりを見せ始めてもいましたし、予算さえあればビッグタイトルにも成り得たのかもしれません。

 

近未来SFへのガッカリさがある一方で、僅かな可能性を感じさせた作品でもありました。