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【レビュー】スター・ウォーズ/最後のジェダイ

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スター・ウォーズ』といえばこれまで、続編とはいえどある程度時間が経過してから始まるものであった。そのためにオープニング・クロールがあるのだ。
けれど、今作は『フォースの覚醒』直後から物語が始まる。(もちろんオープニング・クロールはあるが)
レイがルークにセイバーを渡した直後から。
きっと『フォースの覚醒』を見た人なら誰しもワクワクを抱いたハズだ。もちろん私もその内の1人だ。
だが、ルークが取った行動は、そのセーバーを投げ捨てるという誰も予想だにしなかった行動であった。

 

今作は、こうしたファンをガッカリさせる要素が多い。故に「シリーズ最低」の烙印まで押されている。
だがこれにかこつけて、宇宙に重力がある事やアクションの動きがEP1,2,3に劣ることなど、シリーズ共通して言えることをこの作品のことだけのように糾弾されているのはいささか可哀想ではある。叩けるうちに叩いとけということなのだろうか。
「シリーズ最低」というのは私も認めるが、この作品にも褒めるべき所はある。
レイとカイロ・レン(ベン)の奇妙な繋がり、二人の結託、ルークと過去の仲間の再開(特にR2D2との再会はグッとくる)は、個人的に見る価値があったと思う。
一時的とはいえダークサイドとの結託はこれまでにない驚きの展開であったし、ルークの下りは過去シリーズをしっかりと生かしている。
全部が全部ダメというわけでもないのだ。

 

とはいえ、不満な点を挙げていくとそちらが多くなるのも事実。
中でもキャラクター性とストーリーの無駄は痛手であった。
キャラクター性は新旧問わず酷い。
ファースト・オーダーに追い込まれていることもあってなのか、基本的にギスギスとしたシーンが多すぎるのだ。
せっかくの『スター・ウォーズ』なのに、記憶に残っているのは仲間割れや不信感漂うシーンばかりなのはファンとしてはショックである。

 

ストーリーの無駄は、カジノのある惑星に行く一連のシーンだ。
登場人物、事象など全てが無くても成立してしまう。
もしかしたら続編の伏線のためだったのかもしれないが、最終作が公開された今となっては「無駄だった」と言うしかない。
こうした不満点諸々は、監督が変わったというのが一番の原因なのだろう。
例えば、今作一番問題視されていたルークの性格について。ライアン監督は「約30年ルークの身に何があったか考えた。ファースト・オーダーが台頭したにも関わらず、島に籠っていたことも踏まえるとあの性格になった」と、インタビューで話している。(要約)
それがエイブラムス監督やファンとの間に齟齬が生じたのだ。
完全に話が続いた状態でバトンを渡したのだから、こうなることは自明の理だったと言えるだろう。

 

こうして、制作陣にとってもファンにとってもわだかまりが残る結果となってしまった今作。
それはファンによる「『エピソード8』を作り直せ」という署名を募る行動にまで発展した。
けれど、9が公開された今となってはもはや後の祭り。今更、大金を掛けて作り直すことは十中八九あり得ないだろう。
だが、ファンとライアン監督の間にできた確執は深い。それこそライトサイドとダークサイドの関係のように。
彼らが和解を迎える日は来るのだろうか。