スキマ時間 DE 映画レビュー

【レビュー】マックス・スティール(ネタバレあり)

f:id:sparetime-moviereview:20200521055407j:image

 

今の時代、ヒーロー映画はもはやメジャーとなっています。

特にMARVELとDC。このアメコミ2社による映画は映画界を変えたと言っても過言でないレベルで影響を与えました。

そんな中、2016年ひっそりと生まれたのが『マックス・スティール』でした。

1997年にマテル社から発売されたアクションフィギュアが元ネタとなっており、アメリカでは有名らしいです。

 

そんな本作ですが、ぶっちゃけ面白くないです。

マックスが金属生命体のスティールをパワードスーツのように身にまとい戦うという、面白くなりそうな設定はあるのですが、つまらない。

それは、おそらくストーリーにあるのでしょう。

ヒーローというのは本来、街や国の人々を守るために戦うものです。

そのために、力の使い道なり責任なりを学んでいくことがひとつの面白さとなっています。

本作ではそうしたヒーローに必要な要素が欠けているんですね。

なあなあで知り合った金属生命体スティールと、過去に死んだ父親の真相を探り、その復讐相手を探すという非常に個人的な話でした。

得たパワーも基本的には自分で使う事しかしておらず、なんだか宝の持ち腐れな感じがしました。

特別な力を持った自覚も責任も感じるシーンがなく、正直「これヒーローじゃなくないか?」と思うしかありませんでした。

 

そうした思いに拍車を掛けるのが、戦闘シーンの薄さです。

特殊な力を身につけたものの、戦闘シーンは大きく分けて2回しかありません。(ウルトラリンクと黒幕のマイルズ博士

その数少ない戦闘シーンでも「リンクが不安定」という理由から、ほとんどがやられている印象。どちらも、力を開放して一発逆転していましたが。

とはいえ、こうした薄い戦闘シーンになってしまうのは予算の関係上、仕方ない事であったようです。

製作費1,000万ドルというのは、ハリウッド映画の中では低予算の部類に入っており、それをCGバリバリな映画でやるのはかなりキツイ話でした。

そうした中で苦肉の策として、戦闘シーンの削減と一発逆転勝利で対応するしかなかったのでしょう。

とはいえ、見る側としてはそんな都合は考慮していませんし「もっと頑張れないのかな?」と思ってしまうアクションシーンでしたね。

 

そんなガッカリ要素の多い作品ではありますが、キャラクターはユニークで面白かったと思います。

思春期真っ盛りで父親の死に敏感になっているマックスと、謎のおしゃべり生命体のスティールが織り成す関係は、本作ならでは。

地球の文化に興味津々なスティールをマックスが抑える様子は、秀逸なやり取り……とは言えませんがオリジナリティはありましたね。

少なくとも、スティールのキャラを掴むのには必要な要素でした。

 

アメリカ映画の新たなヒーローとして期待されていたマックス・スティール。

しかし、蓋を開けてみると、低予算+ヒーローらしさの欠如からイマイチ盛り上がらない作品となってしまっていました。

設定だけ切り抜けば面白くなりそうであっただけに、惜しいですね。