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【レビュー】ノウイング(ネタバレあり)

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ニコラス・ケイジといえば、メジャーな俳優ながらも多くの作品に出演しています。

ビックタイトル、B級問わず出演するその積極性は、ファンにとっては面白い限りです。

そんなニコラス・ケイジによる(2020年現在)唯一のディザスタームービーが今回レビューする『ノウイング』となります。

 

個人的な話になりますが、ディザスタームービーには2種類あると思っています。

1つは災害から逃げ回るタイプ、もう1つは災害を回避しようとするタイプです。

本作はそのうちの後者に当たります。

ただ、その回避しようとする過程がユニークでした。

本来なら、研究者たちが異常を観測→回避のための対策を取るという流れですが、本作はきっかけが「予言」です。厳密にいうなら、最初は数字の羅列で予言ですらありません。

そこから数字の意味を見出し、なんか地球がヤバいことになり始めていることをニコラス演じるジョンが実体験で理解していきます。

 

この災害を体験するシーンが、本作の見所のひとつでした。

CGをバリバリに使用した映像は、飛行機墜落と地下鉄脱線という規模のデカい災害を取り扱っているだけにかなり迫力のあるシーンになっているんですね。

特に飛行機墜落は、本作のハイライトと言っても過言ではない衝撃シーンでした。

飛行機墜落からジョンが現場に駆け付けるまでをハンドカメラでワンショット、画面のブレありの状態で撮影した演出は素晴らしいです。

飛行機墜落後の緊迫の現場を臨場感マックスで体感できるのは贅沢な体験でした。

 

こうした実体験を通して、ジョンは数字の羅列=予言であることを知り、その結末が人類滅亡であることを知ります。

しかし、ここからなんだか訳のわからない映画に。

太陽フレアという脅威を前に、息子をケイレブを救うため東奔西走するジョン。

その息子は、なぜか宇宙人とウサギと共に地球から逃げ出すことになります。

パパとして頑張っているニコラスを見れるのは良かったのですが、その結末が「お前は滅びる地球に残れ」って……

なによりツッコミたいのが、予言を知っている、知っていない関係なく、宇宙人たちはケイレブを迎えに来るつもりであったということ。

これじゃあジョンの努力は全く無意味だったと言うしかありません。

まあ無意味といえば、予言を書いたルシンダの娘ダイアナがパニックに陥ったあげく、事故って死ぬこと以上のことはないですけどね。

 

序盤から中盤までは、真面目なミステリー・ディザスターといういい感じの雰囲気を作っていましたが、最後になって適当なオカルト映画になった感じがしました。

全ての努力を太陽フレアで吹っ飛ばすラストは、不条理極まりありません。(CGの迫力があって少し盛り上がってしまいましたが)

ディザスタームービーでもバッドエンドって珍しいので、記憶には残りますけどなんだか釈然としませんでした。

 

今でこそ「こんなこと起きるわけないじゃん」と、エンタメ映画として見られる本作ですが、公開当時の2009年はマヤの予言による2012年人類滅亡説もあって、リアリティのある映画でした。

もしも、この先また滅亡説が話題になることがあれば、見方が変わってくるかもしれません。

ただし、宇宙人はいつ見てもきっと現実味がないと思いますけどね。