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【レビュー】マン・オブ・スティール(ネタバレあり)

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「アメコミ界のヒーローといえば?」と聞かれるとおそらくスーパーマンは、上位に出てくるでしょう。
力、速さ、耐久、あらゆる面において最強とも呼べるスーパーマンは、多くの人の憧れとも言えます。
それまで、実写映画が5作品作られていたのもその人気を物語っていると言えるでしょう。
そんな『スーパーマン』シリーズをリブートし、映画化6作品目に当たるのが、今回レビューする『マン・オブ・スティール』となります。

 

本作ですが、リブートということもあってか、これまでのシリーズとは一新されたスタイルが注目されていました。
特に変わったのが作風です。
これまでは、アメコミ特有のライトでコミカルな要素を残していました。
しかし、本作はかなりダークでシリアスな展開が多いです。
カル・エル(スーパーマン)の出生の秘密、故郷の惑星の崩壊、地球のテラフォーミングを目論む敵など、これまでなら描写されないか、深くは追求されなかった箇所にまで言及しています。
特に「死」に対する描写はこれまでのシリーズよりも深く言及していました。
産みの両親の死、育ての父親の死、敵を殺すという結末……
これまでなら避けられてきたような重い展開が次々と起こります。
そのため、スーパーマンが背負う正義の重さもまた重くなっていたのが印象的でした。
自身の正体を知らせるべきか、人間として戦うべきなのか、戦う理由はなんなのか、といった答えを彼の過去から導き出していくストーリーは、これまでにない重厚感を与えていました。
そうした苦境に置かれることが多いためか、スーパーマンが叫ぶこと叫ぶこと。
演じたヘンリー・カヴィルの「ぬわあああああ!」という叫びを3,4回は聞かされたと思います。

 

と、ここまで色々と書いてきましたが、本作の最大の見所となるのがやはりアクションシーンです。
前作『スーパーマン リターンズ』からおよそ7年(2006年→2013年)経過したこともあってか、その進化がすごすぎでした。
動けば衝撃波が巻き起こり、飛び立ち着地すれば地響きが起こるという迫力は、スーパーマンの凄さを身をもって体感できました。
そして、何よりテンションを上げさせてくれるのが敵も同等の力を持っていることです。
これまでの映画では、スーパーマンが弱点を付かれて弱体化するパターンや、誰かを助けるために力を振り絞るという展開ばかりでした。
しかし、本作では殴り合いという本気も本気のぶつかり合いが見れるというたまらない展開が待っていました。
さらに、先ほども書いたような衝撃波や地響といった演出をしながら戦うのですから楽しくないわけがありませんよ。
また、アングルはスーパーマンの視点に追従するようなものが多く、超高速で戦っていることが体感でき、臨場感たっぷりのアクションをフルに楽しめました。
ゾッド将軍との最終戦では、相手がだんだんと覚醒していくという盛り上がる展開も完備しており、どこまでもアクションで楽しませてくれる内容でした。

 

『スーパーマン』シリーズのリブートとして作られた本作。
徹底したスーパーマンの戦う動機付け、一切妥協しないアクションへの力の入れようは、素晴らしいヒーロー映画を作り上げていたと思います。
2020年現在でも続くDCユニバース映画があるのも、本作の成功があればこそだと言えるでしょう。