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【レビュー】ランボー(ネタバレあり)

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シルヴェスタ・スタローンといえば『ロッキー』派と『ランボー』派のどちらかに別れるはずです。

そんなスタローンの代表作シリーズの元祖『ランボー』を今回はレビューしていきます。

 

この『ランボー』シリーズは、どれも「ランボーが大暴れする」という点は変わりません。

しかし、本作だけはランボー=ヒーローという定義に当てはまらないのが特徴となっています。

発端となるのが、田舎町で保安官に目をつけられたことでした。

いきなり「よそ者はお断りだ出ていけ」と、横暴な態度でランボーを追い返す保安官は不快なキャラでした。(まあ、本作での敵となるのですから当然ですが)

ただ、ランボーもそれに対して反抗的な態度で答えるのですからハラハラさせられます。

確かにムカつく保安官ではありましたが「おいおいやりすぎじゃないか」感がありました。

そんなミステリアスな謎を残しながら、ランボーは、保安官たちに拷問され、フラッシュバックのせいで暴れ始めてしまいます。

後はもうやりたい放題。警察署内の地下から素手でスタートなのに、己の身ひとつで脱出できてしまうのはスタローンだからこそ納得のできる暴れっぷりでした。

 

面白いのは、ランボーが山に籠ってからです。

山の地形と即席の罠を駆使して、保安官たちをバッタバタと倒していくのは、ランボーが善とか悪とか関係なく痛快でした。(ランボーが悪にしろ保安官たちが拷問をするクズであったことには変わりありませんし)

罠のバリエーションも多く、まさに一騎当千

「絶対に捕まランボー!」と言わんばかりの活躍は、ランボーというキャラクターに興味を抱かずにはいられませんでした。

 

そんなランボーの正体が明らかになるのが中盤になり、トラウトマン大佐が登場してからです。

なんか聞きなれないような勲章をいくつも並べ立てられ「とにかく、元ベトナム兵でゲリラ戦がすごい強い奴」だということが分かります。

ただ、ランボーが抱えているのはそれだけではないんですね。

それが分かるのがラストシーン。

正直、このランボーの叫びは『ロッキー』で言う「エイドリアーン!」に匹敵する重要なシーンでした。

ベトナム戦争帰還兵に対する風当たりの強さ、戦地のトラウマを抱えて生きる息苦しさ、仲間たちすらいなくなった孤独。

全てにおける嘆きの叫びは、それまでの彼の暴走に対して、納得のいく説明をつけていたと思います。

その後、自首したランボーは大佐と共に去っていくわけですが、そこには戦争の空しさと僅かな救いが残っているだけでした。

彼の中で戦争が続いていたことが、明確に描かれていたラストであったと言えるでしょう。

 

で、何より語りたいのがランボーの有能さです。

どんな時でも冷静沈着、ゲリラ戦ならお任せあれの彼による戦闘シーンはとにかく圧巻。

先程も少し触れた、保安官たち相手に罠で無双するシーンはもちろん、普通に格闘や銃火器を使用した戦闘シーンがあるのも熱いです。

特に、終盤にランボーが街へ攻めいってくるシーンは圧巻。

爆発に次ぐ爆発、容赦ない銃撃、プロだからこそできる立ち回りなどは、ランボーが復讐へひた走る最悪の展開に向かっていると分かっていても楽しくてワクワクしてしまいます。

ベトナム戦争のトラウマに苦しむランボーの姿を捉えたドラマ映画でありながら、純粋に楽しめるアクション映画でもあったと思います。

 

戦争のトラウマを鮮明に描いているのと同時に「スタローンによる一人戦争」というエンターテイメント性も持たせていた本作。

ランボーが暴れれば「やれ!やれ!」と応援し、ランボーが気持ちを吐露すれば感動する。そんな隅から隅まで楽しめる作品だったと言えるでしょう。