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【レビュー】ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-(ネタバレあり)

どこの国でも刑事ドラマは人気です。

笑いありシリアスありの幅広い展開ができるのが利点なのかもしれません。

そんな刑事ドラマにエドガー・ライト監督が挑んだのが、今回レビューする『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』です。

サイモン・ペッグ×ニック・フロストによる「スリー・フレーバー・コルネット3部作」の第2弾でもあります。


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ストーリー

ロンドン首都警察で優秀な成果を残していたニコラス・エンジェルは「優秀すぎて周りの人間が無能に見られる」という理由から田舎の村サンドフォードへの転勤を命じられる。

数十年事件など起きていないサンドフォードでエンジェルは退屈な仕事ばかりをさせられることとなった。

しかし、ある事故がきっかけとなり事件が隠ぺいされていることを疑い始める。

 

感想

本作、2008年7月に劇場公開されてから実に12年ぶりに劇場で公開されました。(全然話題になってなかった気もしますが……)

で、エドガー・ライト監督は好きなものの『ホット・ファズ』は「いずれか見よう」で後回しになっていたため、今回を逃す手はないと21時からというキツい時間ながらも劇場に足を運びました。

感想として、控えめに言っても最高でした!

独特な演出によるテンポの良さ、笑いを生みだすユーモア、音楽センス、どれをとっても一級品なんですね。

正直、21時からの回で本編時間121分は、眠気に襲われないか心配でしたが眠気すら感じる暇もないほどのテンポの良さ。

「次はどうくる?」と、ワクワクさせる作りには目が離せませんでした。

 

で、やはり面白いのがサイモン・ペッグニック・フロストによるコンビ芸です。

ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)以来3年ぶりの共演となった二人ですが、その息のピッタリさは健在。

真面目な警察官エンジェル(サイモン・ペッグ)とおバカな警察官ダニー(ニック・フロスト)の凸凹コンビによるやり取りは見ていて楽しいです。

中でも中盤にパブでラガービールを飲むシーンは、サイモンとニックの素が垣間見え隠れしており、二人の仲の良さが映画を通して伝わってくるようでした。

このシーンは「スリー・フレーバー・コルネット3部作」でのお約束(ラガービールを飲むこと)でもあるだけに印象的なシーン。

ラガービールが呑みたくなる、ビールテロなシーンでした。

 

このように、キャラクターが面白いのが本作の特徴でもありました。

そもそも名前からして濃い!

よく「名前だけでも覚えて下さい」なんてフレーズを聞きますが、そんなことを言わなくても名前だけ覚えられてしまうほど。

そのため、数多くのキャラクターが登場し、村全体を巻き込んだ事件であっても大まかに誰がどんな立ち位置(職業や血すじなど)かを覚えていられるんですね。

もちろん性格が濃いのも記憶に残る理由のひとつ。

まさかエンジェルが皮肉として第一印象と人物とを結びつけていたのが、そのまま殺人の動機となっていたとは驚きでした。

キャラクターに対する愛が、そのまま観客に対する配慮につながっている抜け目のなさには感心させられました。

 

こうした、観客を楽しませる要素が見られるのも本作のよい点です。

特に終盤の銃撃戦は盛り上がります。

作中、ダニーがエンジェルにオススメしていた『ハートブルー』と『バッド・ボーイズ2バッド』を下敷きにしているのが映画ファンとしては堪らない展開でした。

二人がサングラスを掛けてカッコよく決めるシーンがあったり、ダニーが『ハートブルー』の名シーンと同じことをしたりというのは元ネタを知っているとより楽しめました。(作中でも少しだけ紹介はしていました)

二丁拳銃、飛び込みながらの銃撃、カーチェイス、ドライブバイなどなど、エドガー・ライト監督がおそらく刑事ものでやりたかったアクションすべてを詰め込んだようなアメリカ映画リスペクトな銃撃戦は間違いなく本作のハイライトと言えるでしょう。

 

刑事ドラマとコメディとアクション。

すべての要素をうまく混ぜ合わせ、バディムービーとしていた本作。

サイモン・ペッグニック・フロストのコンビ芸を見ていると「スリー・フレーバー・コルネット3部作」の1作目『ショーン・オブ・ザ・デッド』と、3作目『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』も見たくなりますね。