【レビュー】グランド・イリュージョン
マジックとは夢を与えるものです。
映画も夢を与えるものです。
ならマジック映画では……?
そんなワクワクを実現したのが、今回レビューする『グランドイリュージョン』です。
マジック……いや、これはもう魔法!
本作を見る前、私の中では「華麗なマジックで警察を翻弄する」近い作品で言うなら『オーシャンズ』シリーズのような映画かと思っていました。
たしかにそういった要素もあるにはあるのですが、見ていて思ったのが「これもう魔法の域じゃん……」というものでした。
ミスディレクション(観客の視点を誘導し錯覚させる手法)を使ったトリックとは言いますが、さすがに限度があります。
どうすれば他人の銀行口座の残高を上下させたり、体を札束に変えたり出来るのか教えてほしいものです。
なにより、メンタリズムが便利すぎる!とりあえず不可能に思える所はメンタリズムで押し通しているかのようでした。
とはいえ、そうした点にツッコミを入れずに見れば面白かったのも事実です。
華麗に警察も、マジック暴きもかわしてしまう手際のよさには爽快感すらありました。
また、思った以上にアクションシーンもあって、エンタメ映画としてはバッチリだったと思います。
「騙された!」という驚きこそ少ないものの、映画として楽しむ分には良かったです。
豪華俳優人による騙しあい!
マジックにおいてマジシャンの技量が大切なように、映画において出演者は大切です。
本作では、マジシャンチーム"フォー・ホースメン"、FBI、マジック暴き人、三つ巴の戦いとなっていましたが、それぞれ活躍する俳優がいたのが印象的でした。
まず、"フォー・ホースメン"。
リーダーもとい仕切り屋のダニエル役ジェシー・アイゼンバーグの活躍が光りました。
仕切りたがり人を食ったような癖のある性格を好演。早口で捲し立てるシーンなんかはアイゼンバーグの魅力を引き出していました。
"フォー・ホースメン"は、話の中心ということもあをり、メンバー全員に役割(あるいは活躍)があったのが印象的です。
その中でもアイゼンバーグに次いで活躍していたのが、ウディ・ハレルソン演じるメリットでした。
最初の項目でも書いたようにチート級のメンタリズムを駆使するメリット。
ハレルソンによるいぶし銀の演技は本作には欠かせないものでした。
次に、FBI。
率いるのはマーク・ラファロ演じるディランでした。
"フォー・ホースメン"に振り回される苦労人で、負けん気の強い熱血漢。そのせいで、あらゆる罠に引っ掛かっていくわけですが、見ている側としては、面白くてよかったです。
本作の最重要人物でもありますし、いろいろとおいしい役であったと思います。
最後に、マジック暴き人。そんな名称ありませんが便宜上そう呼んでいます。
率いるのは、モーガン・フリーマン演じるサディアス。
さすがはフリーマン、貫禄が違います。
"フォー・ホースメン"のイリュージョンを観客席で見ているだけでも大物感があるのですからすごいです。
また、本作では同じく大御所のマイケル・ケインとも対峙しています。
その豪華な絵面は、威圧感バリバリの空間であったこともあり、見所のひとつでした。
まあ、両者とも見事にハメられるわけですが……それもまた面白かったですね。
騙す方も、騙される方も、豪華俳優陣が演じることで個性が生ませていました。