【レビュー】地中海殺人事件(ネタバレあり)
エルキュール・ポアロの活躍する作品と聞くと『オリエント急行殺人事件』が思い浮かびます。
けれど、彼の活躍を描いた作品は他にもあります。
その中で、数少ない映画化作品の内の1つが今回レビューする『地中海殺人事件』です。
(ちなみに『オリエント~』以外で映画化されているのは『ナイル殺人事件』と『死海殺人事件』と今回の『地中海殺人事件』の3作)
ストーリーとしては、タイトル通り地中海を臨むとある孤島で殺人事件が起きます。
補足するなら被害者であるアリーナ・マーシャルは売れっ子女優で、実業家の夫を持ちつつも浮気性。高慢な態度で周りからはヘイトをため込んでいる存在でした。
そして、お約束といえばお約束。容疑者はポアロと同じホテルに滞在していた面々ということになります。
そんなミステリー小説の王道を行く設定ではありましたが、映画としてもよくできていました。
地中海を臨む美しい景観(ロケ地はスペインのマヨルカ島)、ピーター・ユスティノフ演じるポアロを初めとした個性的なキャラクター、現場の状況や当時の容疑者たちの動きを視覚的に認識できることなど、利点は様々でした。
特に、推理パートでの犯人のアリバイを崩す展開は映像がかなり効果的でした。
犯行当時、犯人が何をどこで何をしていたのかが、明確になっていました。
もちろんストーリーはアガサ・クリスティによる原作をベースにしているため、安定していました。
完璧に思えるアリバイ、事件前後に起きていた謎の事象、事件の協力者などを、華麗に回収していく丁寧さは、さすがはミステリーの女王とも呼ばれたアガサ・クリスティです。
終わった後に感じるスッキリとした気分は、ミステリー小説一冊を読み終えた感覚にも似ていましたね。
ミステリー作品だけにそこまで立ち入った感想は書きませんが、とにかく映像として見れたことに高い満足感が得られました。
ミステリー要素もしっかりとしており、派手さこそないものの見所は多い作品だったと言えます。
一度は地中海の美しい景観を堪能してみたいと思える作品でした。